人間の業 ― 綺麗事の裏側 第94話:第2回 癌になったら、まず手術なのか
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2026-10-02 20:00:00
人間の業 ― 綺麗事の裏側 第94話副題:癌と手術は、いつも一対なのか「癌です」そう告げられた瞬間、多くの人の頭に浮かぶのは、案外似たような光景ではないだろうか。入院する。手術をする。癌を切り取る。そして、無事に退院する。もちろん、実際に手術によって癌を取り除く人は大勢いる。しかし――。**癌と診断されたら、まず手術。**これは、必ずしも正しい順番ではない。癌の治療は、癌がどこにあるのかだけでは決まらない。どの臓器にできたのか。どれくらいの大きさなのか。周囲の組織にどこまで広がっているのか。リンパ節への転移はあるのか。遠くの臓器に転移しているのか。そして、その人自身の体が手術に耐えられる状態なのか。そうしたことを一つずつ調べたうえで、治療法が決められていく。国立がん研究センターも、癌の診断後には詳しい検査によって病期(ステージ)を調べ、その結果を治療法を検討する重要な指標としている。手術が選択肢になるかどうかも、その段階を踏まえて判断される。つまり、**「癌が見つかった」ことと、「すぐに手術をする」ことは、同じではない。**ここを知らないまま癌という言葉を聞くと、人は必要以上に恐怖を感じる。反対に、「癌でも、手術すれば取れるんでしょう?」と簡単に考えてしまうこともある。こちらも危険だ。癌には、手術だけでは治療できないものもある。薬を使って癌を抑えることが中心になる場合もある。放射線を使う場合もある。そして、手術・薬 物療法・放射線治療を組み合わせることもある。国立がん研究センターでは、手術、薬 物療法、放射線治療を癌の主要な治療法として挙げている。薬 物療法は全身に作用する治療として用いられ、手術や放射線治療と組み合わせることもある。さらに興味深いのは、**「手術をするために、先に薬を使う」**という場合まであることだ。癌を小さくしてから手術をする。あるいは、目に見えない転移や再発の可能性を考えて、手術の前後に薬 物療法を組み合わせる。こうした治療も存在する。だから、「癌を見つけた。では切りましょう」という単純な話ではない。癌という病気は、思っている以上に複雑なのだ。### 「切れば終わり」ではないここでもう一つ、知っておきたいことがある。手術によって、目に見える癌をすべて取り除いたとしても、それですべてが終わるとは限らない。検査では確認できないほど小さな癌細胞が、体のどこかに残っている可能性があるからだ。そのため、癌の種類や性質、進行度によっては、手術後に薬 物療法を行い、再発する可能性を下げる治療をすることがある。つまり、**手術は「癌との戦いの終わり」ではなく、治療の一部分である場合もある。**ここを知らないと、「手術で全部取ったと言われたのに、なぜ薬を飲むの?」という疑問が生まれる。医療者からすれば当然の説明でも、患者からすれば人生で初めて聞く話かもしれない。だからこそ、癌になったときには、「先生に任せておけばいい」だけではなく、**自分が何のために、何をするのかを知ること**が大切になる。### 手術をしないという選択もあるそして、もう一つ誤解されやすいことがある。癌なのに、「手術をしない」という治療が存在することだ。これは「何もしない」という意味ではない。癌の種類や場所、進行度によっては、放射線治療や薬 物療法が中心になることがある。放射線治療だけで根治を目指す場合もあれば、薬 物療法と放射線治療を組み合わせる場合もある。また、癌が進行していて、手術によって取り切ることが難しい場合には、薬 物療法によって病気の進行を抑えたり、症状を和らげたりすることもある。だから、**「手術をしない=治療を諦めた」**ということでもない。ここにも、私たちが知らない癌治療の現実がある。### では、癌になったら最初に何を考えるべきなのか「手術ですか?」ではない。まず、**「私は、どんな癌なのですか?」**と聞くことだろう。そして、「どの程度進んでいますか?」「転移はありますか?」「手術以外の治療法はありますか?」「手術をするなら、なぜ手術なのですか?」「手術をしない場合は、どうなりますか?」と聞いてみる。治療法が複数ある場合には、別の医師の意見を聞くセカンドオピニオンという方法もある。国立がん研究センターも、治療の選択肢について他の医師の意見を聞きたい場合には、セカンドオピニオンを受けることができるとしている。癌になったとき、本当に怖いのは癌そのものだけではないのかもしれない。**何も知らないまま、恐怖に押されて治療を決めてしまうこと。**そして、**「癌なら手術」という思い込みだけで、自分の病気を理解したつもりになること。**癌には、癌ごとの事情がある。だからこそ、「癌になったら、まず手術」ではなく、**「癌になったら、まず自分の癌を知る」**なのである。それが、治療を考える最初の一歩になる。>この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。



