人間の業 ― 綺麗事の裏側 第101話:【連載】知っておきたい認知症のコト(第1回)
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2026-10-09 20:00:00
人間の業 ― 綺麗事の裏側 第101話副題:「痴呆症」から「認知症」へ:言葉の歴史と基礎知識 歳を重ねると「人の名前がパッと出てこない」「昨日食べた晩ごはんのメニューを思い出せない」といった物忘れが増えてきます。しかし、これが単なる加齢によるものなのか、それとも「認知症」の始まりなのか、不安に思ったことはありませんか? 第1回となる今回は、かつて使われていた「痴呆症」という言葉の背景と、知っておきたい認知症の基礎知識について解説します。 1. 「痴呆症」から「認知症」へ:名称変更の背景 かつて医療や介護の現場、そして社会全般で広く使われていた「痴呆(ちほう)」という言葉。しかし、2004(平成16)年、厚生労働省の検討会によって、この行政用語・医療用語は「認知症」へと一斉に改められました。「痴」「呆」という漢字には、それぞれ「愚か」「たわけ」といった侮蔑的なニュアンスが含まれています。そのため、当事者やご家族から「差別的で人権侵害にあたる」「この名前では受診しづらい」という声が多く上がっていました。「認知」という、人間の知的な働き(記憶・判断・計算・理解など)を表す言葉に置き換えることで、「病気によって脳の認知機能が低下した状態」を正確かつ尊厳を保って表すことができるようになったのです。言葉が変わったことで、早期受診や社会的な理解が大きく前進するきっかけとなりました。 2. 「加齢による物忘れ」と「認知症」の違い 「ものを忘れる」こと自体は誰にでも起こりますが、一般的な加齢による物忘れと認知症による記憶障害には明確な違いがあります。項目 加齢による物忘れ認知症による記憶障害 忘れる範囲体験の一部を忘れる(例:朝食の献立を忘れる) 体験の全体を忘れる(例:朝食を食べたこと自体を忘れる) 自覚自覚がある(思い出せないと自覚する)自覚がない(忘れたことに気づかない)日常への影響ヒントがあれば思い出せる。支障は少ない。ヒントがあっても思い出せない。日常・社会生活に支障が出る。 進行進行は非常になだらか。 病気に応じて段階的・徐々に進行する。 「体験そのものが丸ごと抜け落ちてしまう」「忘れている自覚がない」という点が大きな見極めポイントです。 3. 認知症の症状:「中核症状」と「BPSD」認知症の症状は、脳の障害で直接起こる「中核症状」と、それに伴う不安や環境によって二次的に現れる「BPSD(行動・心理症状)」に分かれます。 ① 中核症状(脳の障害によって直接起こる)脳の細胞が破壊されることで直接発生し、すべての人に現れます。 記憶障害:新しい出来事を覚えられない 見当識障害:時間・場所・人間関係が分からなくなる 実行機能障害:計画を立てて順序よく行動できない ↓ 本人の不安・葛藤や環境・対応が影響 ↓ ② BPSD(行動・心理症状) 中核症状による戸惑いや環境が重なって二次的に起こる症状です。 心理症状:物取られ妄想、強い不安、抑うつなど 行動症状:徘徊、暴言・拒絶など BPSDは適切な関わり方や環境の調整によって、和らげたり防止したりすることが可能です。>この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。
