人間の業 ― 綺麗事の裏側 第117話:【連載】知っておきたい認知症のコト 第17回
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2026-10-25 20:00:00
人間の業 ― 綺麗事の裏側 第117話副題:決められた日課へのこだわりと食生活の変化認知症というと、「物忘れが増える」「道に迷う」といった症状を真っ先に思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、認知症の種類によっては、記憶力は保たれているのに「毎日まったく同じ時間に同じ行動をとる」「突然、甘いものばかり食べるようになった」といった、行動や好みの極端な変化が先に現れることがあります。今回は、前頭側頭型認知症(FTD)などでよく見られる「刻印症状(周形症状)」と「食行動の変化」について、その背景と接し方のコツを解説します。1. 1分1秒のズレも許せない?「刻印症状」とは認知機能を司る脳の前頭葉や側頭葉が変化することで起こる特徴的な症状の一つに、刻印症状(こくいんしょうじょう / 周形症状)があります。これは、毎日決まった時間に、決まったコース散歩をしたり、決まった手順で同じ作業を延々と繰り返したりする状態を指します。毎朝必ず同じルートを、寸分違わず歩き回る決められた時間になると、他人の家であっても決まった場所に座ろうとする同じ時計やカレンダーを何度も何度も確認する周囲から見ると「なぜそこまで固執するのか」と不思議に思えますが、ご本人にとっては「そうせずにはいられない強い衝動」が生じている状態です。寄り添いのポイント:無理に止めない・危険のない環境を整えるこの行動を途中で無理に制止したり、間違いを指摘して止めようとすると、激しいパニックや怒りを招くことがあります。本人の安全(交通ルールや迷子防止など)が確保できているのであれば、「日課の一つ」として優しく見守ることが基本です。もし危険が伴う場合は、日課のルートを少しずつ安全な道へと誘導する工夫が必要です。2. 味覚や好みが一変する?「食行動の変化」もう一つ、ご家族が驚かれることが多いのが「食生活の激変」です。これまで辛いものが好きだった人が急に甘党になったり、毎日同じものだけを食べ続けようとしたりする傾向が現れます。あんこやチョコレート、清涼飲料水など「極端に甘いもの」を欲しがる味付けが非常に濃いもの、塩分の強いものばかり好む毎食同じメニュー(例:カップ麺だけ、パンだけ)しか食べようとしない他人の皿にある食べ物を無意識に取って食べてしまう(脱抑制)これは、脳の抑え(ブレーキ)を司る部分が影響を受け、欲求をコントロールしにくくなったり、味覚の感知の仕方が変化したりするために起こります。寄り添いのポイント:否定せず「置き換え」と「分量調整」を「体に悪いからダメ!」「昨日も食べたでしょう!」と叱っても、ご本人には理由が理解しづらく、反発を生む原因になります。小さめのサイズにする(同じ1個でも満足感を得られるようにする)カロリーオフや低糖質のスイーツ・甘味に置き換える1日分のおやつを小分けにして「今日の分」として目につく場所に置くこのように、制限するのではなく「安全に食べられる工夫」を取り入れることが、お互いのストレスを減らす近道です。3. 周囲の理解が「心のゆとり」を生む記憶障害が目立たない時期にこうした症状が出ると、周囲からは「ただの我がまま」「頑固になっただけ」と誤解されがちです。そのため、介護するご家族が一人で抱え込み、疲れ果ててしまうケースも少なくありません。「これは性格のせいではなく、脳の変化による症状なんだ」と理解するだけでも、対応の視点は大きく変わります。完璧に対応しようとせず、専門医やケアマネジャー、デイサービスなどの専門機関と相談しながら、試行錯誤のプロセスをあたたかく支えていきましょう。>この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。



