由美と美弥子 3306

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Mikiko’s Room
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2021-05-26 05:59:18
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絵里子は、タイルに飛び出た惣菜をエコバッグに詰め始めた。 女性が、遠くまで転がった缶詰を拾い集めてくれた。「すみません。 ありがとうございます」 タイルに手を着き、起きあがる。 よろめく。 もちろん演技だ。「あの! わたしが持ちます。 お部屋まで」 女性が、絵里子のエコバッグに手をかけた。「でもあなた、どこかにお出かけするところじゃなかったの?」「いえ。 周りを少し歩いてみようと思ってただけです。 わたし、越して来たばかりなんで」「どうりで、お見かけしないお顔だと思ってました」「村瀬と云います」「長井です」「お持ちします」「すみません。 それじゃ、お願いします」 女性は絵里子からエコバッグを受け取ると、さらに絵里子の腕を取って支えてくれた。 無私の心が真っ直ぐに感じられた。 そういう女性を騙してしまったのは、少しだけ後ろめたい。 でも、話しかけるきっかけを作ってあげたのだから許してもらおう。「何階ですか?」「4階を」 エレベーターで2人きりになると、甘い香りが立った。 バニラのコロンだろうか。 思いがけない出来事で、少し汗ばんだのかも知れない。 もっと近くで嗅ぎたかった。 鼻を着けて。「少し寄っていきません?」 玄関前で、絵里子にエコバッグを渡そうとした女性は、素直に顔を輝かせた。 可愛い。「いいんですか?」「誰もいないのよ。 昼間はひとり」「わたしもです」由美と美弥子 3305 <目次> エロ本を拾った話