人間の業 ― 綺麗事の裏側 第126話:【連載】知っておきたい認知症のコト 第26回
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2026-11-03 20:00:00
人間の業 ― 綺麗事の裏側 第126話副題:周辺症状(BPSD)へのアプローチ ― 心の声を読み解く観察のヒント認知症の症状は、脳の機能低下によって直接生じる「中核症状」(記憶障害や見当識障害など)と、それに本人の性格、環境、人間関係、身体状態などが複雑に絡み合って現れる「周辺症状(BPSD:行動・心理症状)」の2つに大別されます。暴言や拒絶、徘徊、妄想、興奮といった周辺症状は、介護する側にとって最も大きな負担や悩みの種となりがちです。しかし、これらは単なる「困った行動」ではなく、本人がうまく言葉で表現できない苦痛や不満、不安を表している「心の SOS」でもあります。今回は、周辺症状が生じる背景と、それを穏やかに和らげるための観察や対応のヒントについて解説します。1. なぜ周辺症状(BPSD)が起きるのか?周辺症状は、理由もなく突然起こるわけではありません。中核症状によって「状況がうまく理解できない」「自分の思い通りに動けない」という強い不安や不便さを感じているところに、以下のような要因が加わることで引き起こされます。身体的要因: 痛みの訴え(関節痛、虫歯など)、便秘、尿路感染、空腹、睡眠不足、薬の副作用環境的要因: 騒音、部屋の明るさ(暗すぎる・眩しすぎる)、引っ越しや入院などの環境変化、不慣れな人間関係心理的要因: 失敗したことへの自責の念、孤立感、急かされるストレス、自尊心が傷ついた経験本人にとっては「言葉で上手く説明できないけれど、何かが不快で耐えられない」状態であり、それが行動や行動の変化として表面化しているのです。2. 代表的な周辺症状と観察の視点対応を考える第一歩は、「何がこの行動を引き起こしているのか?」という視点で状況を観察することです。〇 入浴や介護への拒絶背景の例: 服を脱ぐ理由が分からない、お湯が熱すぎる/冷たすぎる、裸になるのが恥ずかしい、介助者の手が冷たい観察のヒント: 声かけのタイミングやトーン、室温や湯温、プライバシーが守られているかを確認してみましょう。〇 物取られ妄想(「財布を盗まれた」など)背景の例: 記憶障害により自分で置いた場所を忘れてしまい、混乱と不安から身近な人に疑いの目を向けてしまう観察のヒント: 否定や反論は逆効果です。「一緒に探しましょうか」と不安に寄り添い、本人が見つけられるよう誘導することが効果的です。〇 夕方になると落ち着かなくなる(夕暮れ症候群)背景の例: 一日の疲れ、薄暗くなることによる不安、過去の習慣(「夕飯を作らなきゃ」「家に帰らなきゃ」という思い)観察のヒント: 部屋を早めに明るくする、あたたかい飲み物を飲む、単純作業(洗濯物をたたむ等)を一緒に行うことで気持ちが落ち着くことがあります。3. 周辺症状をやわらげる基本の3ステップ周辺症状への対応では、無理に症状を抑え込もうとするのではなく、本人の苦痛を取り除く姿勢が大切です。まずは身体の不快感をチェックする急に落ち着きがなくなったり興奮したりした時は、便秘や熱、痛みが隠れていないかを最初に確認します。感情を肯定し、否定しない事実と異なる発言があっても、「そんなことありません」と正すのではなく、「そう思われて心配だったのですね」と感情を受け止めます。環境や話題をそっと切り替える不安や興奮が高まっている時は、場所を移動したり、好きな音楽を流したり、お茶を勧めたりして、気持ちの焦点を別のものへ移します。まとめ周辺症状への対応に「万能な正解」はありませんが、「行動の背景にある本人の気持ちや不快感を探る」という姿勢を持ち続けることが、お互いのストレスを減らす大きな鍵となります。介護者だけで抱え込まず、ケアマネジャーや専門医、デイサービスのスタッフなどと状況を共有し、「どのような時に落ち着き、どのような時に高ぶるか」を一緒に分析していくことも非常に有効です。>この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。



