人間の業 ― 綺麗事の裏側 第121話:【連載】知っておきたい認知症のコト 第21回
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2026-10-29 20:00:00
人間の業 ― 綺麗事の裏側 第121話副題:「入浴・排泄の拒否」と「弄便」に向き合うヒント入浴や排泄に関する介助は、毎日のことだからこそ「拒否される」「うまくいかない」ときの介護者のストレスが非常に大きくなります。特に排泄物に関わるトラブルは、どう対応してよいか分からず頭を抱えてしまいがちです。認知症の方がなぜそうした行動をとるのか、その背景にある心理と、負担を減らすための実践的なアプローチを整理します。1. 入浴拒否の理由と「行きたくなる」工夫お風呂に入ることを強く嫌がる場合、単に「わがまま」ではなく、本人なりの不安や恐怖が潜んでいます。拒否の裏にある理由服を脱ぐことへの羞恥心や不安お湯の温度や水分の感覚に対する恐怖(見当識障害により「何をされるか」分からない)着替えや体を洗う手順の複雑さによるパニック試してみたいアプローチ「お風呂」という言葉を使わない:「さっぱりしに行きましょう」「手が汚れたので洗いに行きましょう」など、別の目的で誘導します。雰囲気を変える:浴室内をあらかじめ温めておく、好きな音楽を流す、入浴剤を選んでもらうなど、「心地よい場所」と認識してもらう工夫が有効です。無理に全身浴にこだわらない:どうしても拒否が強い日は、足湯や温かいタオルで拭く(清拭)だけに切り替え、お互いの疲弊を防ぎます。2. 排泄介助の拒否とスムーズな誘導排泄は最もプライベートな行為であるため、自尊心が強く働き、介助への拒否が起こりやすくなります。拒否の裏にある理由「自分は一人でできる」という自尊心トイレの場所や鍵の開け閉めが分からない焦り失敗したことに対する恥ずかしさや隠したい気持ち試してみたいアプローチ失敗する前の決まった時間に誘導:起床時や食後など、本人の排泄リズムに合わせてさりげなく「ちょっとトイレに行っておきましょうか」と声をかけます。環境のわかりやすさ:トイレのドアに大きく「トイレ」と書く、目立つ色(赤や黄色)のシートを便座に貼るなど、視覚的に認識しやすくします。さりげない見守り:ドアを少しだけ開けておき、必要なときだけ手を貸すなど、本人のプライドを傷つけない立ち位置を保ちます。3. 「弄便(排泄物を触ってしまう行為)」への対応と備え便を触ったり部屋や衣類につけてしまったりする「弄便(ろうべん)」は、決して意図的な嫌がらせではありません。なぜ弄便が起きるのか?不快感の解消:「お尻がかゆい・汚れている」「オムツの中に違和感がある」という不快感を、自分でなんとかしようとして触ってしまいます。排泄物の認識低下:手についてしまったものが排泄物だと認識できず、拭き取ろうとして周りにつけてしまうことがあります。対応と防止のポイント冷静に対応する(叱らない):大声で驚いたり叱ったりすると、本人は強い恐怖や罪悪感を抱き、隠そうとして余計に悪化することがあります。無言で手早く、淡々と片付けるのが鉄則です。オムツや下着の適合を見直す:サイズが合っていない、吸収量が足りず蒸れているなど、不快感の原因をケアマネジャーや看護師と相談して解消します。つなぎ服(介護用パジャマ)の導入も一時的な手立てとして検討されます。手拭きシートや消毒液を常備しておく:万が一の際にすぐ対応できるよう、片付けキット(手袋・シート・消臭スプレー・ビニール袋)を一箇所にまとめておくと焦らず対処できます。介護をする側が一人で抱え込むと、心身ともに限界を迎えてしまいます。「すべてを完璧にやろうとしない」「デイサービスや訪問介護のプロの手を積極的に借りる」ことが、結果としてお互いの穏やかな生活を守ることにつながります。>この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。



