由美と美弥子 3130

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Mikiko’s Room
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2020-09-18 05:47:12
■ 翌々日。 男は夜を待った。 その日は、花屋の営業日だった。 営業が終わるのは、18:30。 惣菜を買って帰るから、夕食を食べずに、19:30分に来てくれとのことだった。 男はこの日も、部屋で仕事をしていた。 ときおり窓から、向かいのマンションを眺めたが……。 もちろん女性の部屋には、カーテンが引かれたままだった。 19:25。 男は部屋を出た。 女性のマンションまでは、直線距離で100メートルくらいだ。 どんなにゆっくり歩いても、5分でもお釣りが来る。 マンションのエントランスの階段前で腕時計を見た。 19:28だった。 もういいだろう。 男は、歩道に誰の姿もないことを確認し、階段を上った。 納骨堂めいたエントランスホールを進む。 奥にはもうひとつガラス扉があり、その前に演台のようなものが据えてある。 インターホンだった。 これで住人に連絡を取り、扉を解錠してもらうのだ。 インターホンのテンキーに、女性の部屋番号を打ちこむ。『はい』「早かったかな?」『大丈夫』 施錠が外れるらしい音がした。 ガラス扉の前に立つ。 扉は、あっけなく開いた。 男は扉を潜った。 なぜか、真水と海水の堺を越えたような気がした。 機械油の匂うエレベーターで女性の住む階に昇り、部屋の扉前に立つ。 扉の脇にも、インターホンが設置されていた。 カメラが付いている。 呼び出しボタンを押す。『誰にも会わなかった?』「大丈夫」『入って』 リモコンなのだろう、すぐに解錠音が響いた。 ドアノブが冷たかった。 おそらく、自分の手が熱いのだろう。由美と美弥子 3129 <目次> エロ本を拾った話