どの世界でも、新人とは無茶振りされるものなのだろうか。初めての企画会議に緊張しながら参加したとき、編集長にいきなり命じられた。「真田、お前はまず新人研修として、安い風俗を体験してきたらどうや。そうやなあ、５回ヌイて経費は１万円ってとこかな」「え、１万で５回っすか？」「いや、ちょっと足らんか。そしたら大サービスで１万２千円にしたろ」どプラス２千円ぐらいで恩を着せないでほしい。５で割ったら、平均２４００円じゃないか…。●１ヌキ目　母の友達にこんな人たくさんいるんだけど２４００円程度でヌケる店はどこにあるのか？風俗サイトで導き出した答えがＪＲ大塚駅近くに存在する老舗のピンサロ、『愛に恋』だ。　値段を見て驚いた。10分で１２００円。まるで定食のような値段でサービスを提供している。ピンサロって10分で済ませられるところなのか？　いざ大塚の店へ。外見はかなり年季が入っている。　ピンサロと言えば何故か狭い階段を上らされたり、下りさせられたりするものだが、ここも例外ではない。暗い階段をゆっくり上る。　薄暗いピンサロらしい店内が見えてきた。貼られてあるポスターは年季が入っており剥がれかけている。受付のおっさんにシングル（１回転）と伝え１２００円を支払う。覆水盆に返らず。もう引き返せない。「それでは席にご案内します」　待ち時間はなく、すぐに席に通された。俺以外にも４人ほどお客さんが入っているが、どう見ても定年退職したようなジイさんばかりだ。　店内はクリスマスツリーに飾るような安い連結式のＬＥＤライトが赤色に輝いている。ＢＧＭはB'zだ。　席に座ってすぐ、隣に女性がやってきた。「おじゃまします」　スーパーのレジ打ちのようなおばさんがにっこりと微笑んでいる。27才の俺には完全に母親世代だ。というか、母の友達にこんな人くさんいるんだけど。　それにしてもこの人、10分でいくらもらえるんだろう。店と折半とすれば６００円か。　時給千円のスーパーのパートよりはいいとも言えるけど、こっちはチンチンしゃぶりしなきゃいけないもんな。なかなか大変な仕事だ。オナニー代わりにまた来てもいいかも「下脱いでくださいね」「ッス」　言われるがままに下半身を露出させる。「拭きますね？」　時間が短いだけあって手際の良さは一流である。おしぼりを使って丁寧かつ、迅速に準備に取りかかる。会話も最小限だ。「失礼しま〜す」　垂れた乳を左右に揺らしながら股間に顔を埋めてきた。ざらざらとした舌がまとわり付いてくるが、そんなに気持ちよくない。義務的な雰囲気を感じる。　タマを舐め、裏スジを舐めと頑張ってくれてはいるが、こっちの気持ちが入って来ない。彼女の容姿のせいなのか、フェラとB'zの音楽がマッチしないからなのか。　しかし制限時間は10分。普通のピンサロならゆっくり気分を高めていけばいいのだろうが、このコースだと早くも発射体勢に入るべき時間だ。気持ちだのB'zだのと贅沢を言ってる余裕はない。「もう少し、強めに吸ってください」「ふぁあい」　まるで掃除機のようなパワーで吸ってきた。この肺活量には驚きだ。　しかし強いだけで、そこまで気持ちよくはない。何なら少し痛いぐらいだ。変なお願いしなければよかった。　残り何分あるんだろう。レジのおばちゃんに吸われてノー発射では立つ瀬がない。なんとしても出さねば。よしよし、だんだん来たぞ。「そろそろイキそうです」「ふぉうふぉふぉ」　何を言っているのかサッパリわからないが、口内射精を了承する言葉だと勝手に推測した。よし、イってやれ。　なんとか10分以内に発射できた。さっき階段を上って10分後に、スッキリして同じ階段を下りてるのが不思議な気分だ。あまりにもお手軽すぎる。これで１２００円なら、オナニー代わりにまた来てもいいかも。　いや、そのうちいつか本当の母親が田舎から出稼ぎで働いてたりしそうで、怖いといえば怖い。●２ヌキ目のぞき部屋ってこの世代に流行してるのか？　場所は変わり、新宿歌舞伎町。ＴＯＨＯシネマズ新宿の前にやってきた。　目的の店は『のぞき部屋マドンナ』。なんだかよくわからんが２２００円（税込み）で遊べるとのことだ。のぞき部屋とはストリップショーのことだろうか。ストリップは高校のとき修学旅行で上野の劇場に興味本位で突撃して以来になる。　地下一階の店内へ。料金を支払うと、初老の店員に注意された。「当店では撮影禁止となっていますので、スマホ含めカメラ等はおあずかりさせていただきます」　なるほど、踊り子さんを盗撮するやつがいるんだな。　スマホを預け、プラスチックの番号札を受け取る。「時間が来ましたらご案内いたします。それまではあちらの部屋でお待ちください」　待合室には先客が２名いた。驚いたことに２人とも30代半ばくらいと、けっこう若い。　煙草を吸いながら待っていると、新たな客がやってきた。スーツを着たこれまた30才くらいの青年だ。のぞき部屋ってこの世代に流行してるのか？「お待たせしました〜」　やっと声がかかった。待合室の４人がそろって立ち上がる。　どうやらこのお店、入れ替え制になっているようで、前の客グループが帰ったら、次の客グループが揃って入るシステムのようだ。映画館みたいなもんだな。　待合室を出たところに、30才くらいの女性が立っていた。顔は仲間由紀恵に似て、スタイルもかなりいい。ネグリジェのようなエロい衣装を着ている。この人が踊るのだろうか。　俺たち４人はそれぞれ、カーテンでさえぎられただけの個室へ通された。　部屋の中は狭い。横幅は１メートルもなく、肩を左右に揺らすと壁にぶつかってしまう。　前面がマジックミラーになっており、ミラーの向こうにはダンスルームが２畳程度広がっている。そこを囲むように個室がついているようだ。　先ほどのエロネグリジェのねーちゃんが巡回してきた。「手コキ２２００円、ゴムフェラ４４００円になります。いかがでしょうか？」　ほう、そんなオプションがあるんだ。「そのサービスって、ストリップが終わった後ですか？」「そうですね。いかかですか？」　裸体を鑑賞してコーフンしたところでヌイてくれるわけか。あいにくだが、そんな金はない。残念だ。ミラーの向こうのアソコをオカズに　照明が点滅し、音声が流れた。「皆様をイマジネーションの世界へお連れいたします」　なんだこのアナウンスは？　赤色やピンク色の照明が点滅し、いかにもな雰囲気になってきた。　ロック調の音楽が流れ、さっきのネグリジェ仲間由紀恵さんが踊り始める。　絨毯に座って開脚し、パンツ越しにワレメを見せてくる。　自ら乳を揉み、腰に手を回し、尻の肉をつかむ。　パンツとブラを脱ぎ捨て、手でマンコがギリギリ見えないように隠して踊る。　どれもなまめかしい。さすがのエロさだ。他の個室にいる30代の同志たちも満足してるだろうか。10分ほどで一通りの踊りが終わると、今度は各個室の前でのサービスタイムが始まった。マジックミラーの前で開脚して腰を揺らしてくれるのだ。　ヌクなら今しかない。狭い個室に座ったまま、ミラーの向こうのアソコをオカズに、俺はシコシコを開始した。　虚しい。やっぱりここは手コキオプションでもつけておくべきだったか。　音楽が終わり、女が最後のお辞儀をしたころ、俺はすでに賢者タイムに突入していた。他の部屋ではお楽しみの始まりだろうか。うらやましい。●３ヌキ目どうせなら全裸になってみよう　まだ予算は８千円以上残っている。　３軒目は、25分１９８０円の手コキ店『ハンドキャンパス』に行くことにした。やっぱり自分の手でヌクのは虚しいし。　雑居ビルのエレベータに乗り、ドアが開くとそのまま店内だ。店は今年の２月に出来たらしく、かなり綺麗で明るい雰囲気だ。「どちらのコースにいたしますか？」「１９８０円のＡコースでお願いします。」「こちらは当店が初めての方のみご利用いただけますが、当店は初めてですか？」「はい」「かしこまりました。このコースは女の子にお触り出来ませんのでよろしくお願いします」　Ａコースは25分間のうち、最初の10分は備え付けのＡＶを見て気分を高め、その後に女が入室してプレイが始まるとのこと。要するに手コキ時間は15分だ。なかなか短い。　そのうえ、お触りもできないとなると、確実にイケるかどうか不安だな。　個室でＡＶも見ずに待つこと10分。どうせなら全裸になってみようと、衣服を脱ぎ捨てたところで女がやってきた。　普通にかわいい。セミロング髪に赤色のインナーカラーが入っている少しギャルっぽい女だ。ギャル好き！　最高！添い寝をしながら抱きついてみる　タイマーが押されてプレイスタートだ。「実は私、この店がフーゾク初めてなんですよ〜」　なんと、ギャルなのにここが初めてなんだ。「へえ、慣れました？」「そうですねー」　なんて軽い雑談をしながらローションを手に付けて優しくちんぽを握ってくる。さあ、これから15分、しっかりヌルヌルしてくださいよ。くちゅくちゅとシゴかれるも、さっきのぞき部屋でヌイたので、なかなかイケそうにない。そろそろ姿勢を変えてみるか。「寝転がりながらしたいんですけど」「大丈夫ですよ」　添い寝の状態で手コキしていただくことにした。好みのギャルなので、イチャラブ系で攻めてみようと考えた次第だ。「ちょっとだけなら抱きついてもいい？」「ちょっとだけなら……」　やっぱりギャル最高。これって普通ならオプション料金とられるとこだよな。　そろそろ射精したくなったので、添い寝をしながら抱きついてみる。何も言われない。もう好き勝手させてもらおう。「そろそろイきたいです……」「大丈夫ですよ。たくさん出してくださいね」　うっ、そんな優しくされたらもうダメ！　出る！　ここでセットしていたタイマーが鳴ってプレイ終了。15分とは思えない濃密な時間だった。　プレイの後は雑談をしながらちんぽを拭いてもらう。手コキ風俗、ハマりそうだ。●４、５ヌキ目そんな子を採用しちゃダメでしょ　残る予算は６千円ちょい。ノルマはあと２ヌキだから、このへんで贅沢してもいいのでは？　探し出したのはデリヘル『一休さん』。名のとおり19分３千円の店だ。３千円の風俗が贅沢に感じられるなんて、金銭感覚がオカシくなってきてるな。　ラブホを使う金はないので、１時間２千円のレンタルルームに入って電話をかける。「お電話ありがとうございます」「19分３千円のコースをフリーでお願いします」「申し訳ありませんが、19分のコースは対応できる子とできない子がいるんですよ。今ちょっと対応できる女の子がいないので…」　え、店名が一休さんなのに、対応できない子がいるんだ。そんな子を採用しちゃダメでしょ。結局、40分待ちならなんとかなるとのことなので、レンタルルームを延長するハメになった。痛い出費だ。　待ちくたびれたころに、店から電話がかかってきた。「これから向かいますので準備をお願いしたいのですが……」「準備ってなんですか？」「19分ですと、プレイ時間が短いので先にシャワーを浴びていただいてもよろしいですか？」　うーん、ま、しょうがないか。19分だもんな。「また女性はシャワーを浴びる時間がないので、完全に脱いでのプレイが出来ません」はいはい、19分だもんね。　ひとりでシャワーを浴びてしばらくしたら、ドアをノックする音が。　ドアを開ける。そこにいたのは、横に伸ばして縦を潰した感じの、アスペクト比率がおかしいぽっちゃりさんだった。年齢は40前後か（後で調べたら31になっていた）。　ま、大塚のピンサロではレジ打ちのおばさんが来たのだ。これくらいならまだマシと思おう。脱いでもらったのは逆効果だった「お時間がないので舐めますね」　彼女は服も脱がずに、急にプレイを開始した。「私、舌にピアスあるから痛かったら言ってください」　へえ、舌ピアスか。初めての体験にちょっと期待したが、痛い痛くない以前に、フェラが上手くないので気持ちよくならない。　さらに彼女が汗だくなのも気になる。「なんかめっちゃ汗かいてるね」「急いで来たので、ごめんなさい」　そういう問題なのか。別にこっちは急がせたつもりはないんだけど。　気持ちよくないが時間はどんどん迫ってくる。とにかく射精をしなければと焦ってきた。「せめてワンピースだけでも脱いでくれませんか？」「はい大丈夫ですよ」　どうにかテンションを高めないととお願いしたら、ワンピースとブラを脱いでくれた。全裸はムリでもここまではＯＫなのかな。　胸は大きいが、この体系なら妥当な乳である。当たり前のように張りはない。萎びた朝顔の花みたいだ。　脱いでもらったのは逆効果だった。困った困った。一休さんよ、なにか知恵を授けてくれ。　そろそろ19分経ちそうだ。「出したいんでもう少し刺激強めでお願いします」「わわわわした」　やはりちんぽを咥えさせていると何を言っているのかわからなくなるな。「あ、出そうです」　うっ。　なんとか出せたが、レンタルルーム延長のせいで、残り予算が６２０円になった。さすがにここまで安いヌキ処はない。　しかたなく、４５４円で買ったテンガエッグで５発目を発射し、新人研修は完了したのだった。★　話はつづく。　任務完了の翌日、股間がミョーに痒くなった。痒みだけでなく、小便をするときに若干の痛みがある。　近所の泌尿器科へ。「尿道炎か前立腺炎かもしれません。とりあえず抗生物質出しますね」　かかった費用は２６９０円。うー、予算オーバだ…。