50代女が目覚めるとき30代の頃は、まだ子育てに忙しい。子どものことが第一だから、夫婦関係が間遠いになっても、それほど気にも留めなかったが、子育てが一段落すると、やはり自分の事に目が行くようになり、考えは夫との関係にも及んでいく。日常生活に追われる中で、知らぬ間に夫との心の距離が開いていった。そして気づくのだ「女として満たされていなかった」ことに。40代になり歳を重ねていくと女は嫌でも「老化」に向き合わざるお得ない。どんなに見た目が若くても女として綺麗に装っていても、肉体的には確実に老いていく。以前はシャワーを浴びると湯を弾いていた肌は、いまや湯に馴染んでしまう。男を惹きつけられるのは、やはり「若さ」だと女は本能的に知っている。だから女は老いを怖れるのである。男に見向きもされなくなるとき、どれほど絶望感を抱くか自信を喪失するか、現実を見たくないのだ。「淡い気持ちを持つだけなら…」と思ったけれど・・・ところがそんな仲間の一人に涼子は恋心を抱いてしまう。涼子54歳のときだった。彼は20歳年下の独身で、涼子を慕ってくれていた。仕事の相談から彼女のことまで何でも話してくれるのだ。彼は年齢も気にせず、すごくフラットに接してくれた。新しい服を着ているといち早く「涼子さん素敵ですね」と笑顔で言ってくれる。涼子は次第に「私もまだ女として生きていいだなあ」と思うようになる。年下の友達と位置づけていた彼なのに、気づくと涼子の心の中で彼の存在が大きくなっていた。夜中にLINEのメッセージをやりとりしたこともある。でも彼に自分から好きだなんて言えないし、涼子が彼の恋愛対象に入っているわけもない。そう自分に言い聞かせていたのである。そんな日々がつづいたある日、うっかり夫の愚痴をこぼしたら彼はまじめな顔をして「僕なら涼子さんに寂しい思いはさせない」と声をあらげた。彼も長く付き合っていた彼女と別れたらしく、その日は初めて手をつないで歩き、別れ際にキスをしてしまったのである。「これ以上のことがあってはならない。」理性ではそうわかっている。だが昨日のことが心によみがえってくる。思えば思うほど彼への情熱は燃え上がる一方である。彼も異性と意識したメッセージのような内容を送ってくるようになっている。「不倫なんてしない。しないつもり・・・」彼のことは本気で好きだが、浮かれて傷つきたくはない。最初から深入りしないのが一番だと、自制するのが精一杯の努力だった。だが、彼からもっと熱いアプローチがあれば自分がどうなるかわからない。女としての迷いと苦悩が、涼子を苦しめるのであった。50代女は肉体的な衰退と逆に心の中はまだまだ女を忘れられずに、最後の恋とを求めている。「まだ女でいたい」「女を確かめたい」これが本音のところ。涼子は最後のあがきを行なっているのかもしれない。50代の女たちは、悶々としながらも「一歩」踏み出すことが出来ずにいることが多い。20年の夫婦、もう夫とすることはない。彼のことを思えば思うほど『ふと自分の中の“女”が目覚めそうになる』「がしたい、それも気が狂う激しく・・・」涼子の頭の中には、常にそういう思いが渦巻いていった。50代女の5つの壁女は「恋愛感情が満たされる人生」を欲しがる生き物である。だから、女にとって「＝恋愛感情」と言っても過言ではない。「この人なら受け入れたい！」という『感情・感覚』というスイッチが入ったときだけ性欲が高まり「したい！」と感じるわけである。さらに女は、体の構造的に受動的なになるので「セックスしたくない相手」とセックスしても、恋愛感情が満たされるどころか、逆にカラダや心を傷つけてしまうことを本能的に理解しているのである。50代女たちのセックスに立ちはだかる5つの壁「性は生なり」という。人生100年といわれている時代、閉経以降の女にとっても、「性」は単なる性行為のみのとどまらず、生きる活力になったり相手との関係を豊かにしたりと、心や生き方と直結する問題となりつつある。50代以降の女たちにとって、性における問題や悩みは大きく分けて次の5つである。① 夫やパートナーが居るのに② 性交痛がひどい③ 相手に合わせてセックスに応じているだけで楽しくない（セックスが苦痛）④ 性欲そのものがない⑤ セックスする相手がいない俺たちに依頼する女たちを見ていると、本当に“女”として熟すのは40代になってからである。いや50代からでも。女の性欲は40代がピークだと言われているが「そういえば」と思い当たる女も多いのではないだろうか。俺の周りにも「40代で乱れ咲いたわ」「やたらと体がしたくてたまらなかった」と当時を振り返る50代以降の女たちの多いこと。「40代の方が20代のときよりも性欲が強い」とうったえる。これらの原因は、どうやらホルモンのなせる業らしいが、中には「50代で性的に開発された」「50代で初めてセックスが気持ちいいと思った」「この歳で初めてイッた」という50代も少なくはない。そういう話を気聞くたびに、人間の性欲というのは何歳からでもスタートするんだな、と思う。年齢を重ねるごとに体のラインや肌のつや、体力などなど様々なことが若い頃よりはどうしても衰えてくるこの世代。だが、体の内側は艶めいて熟し、社会で生き抜いてきた逞しさで自信に溢れ、妖艶に花開くのがこの世代である。この熟女世代は、見せ方によっては若い頃よりモテることがある。がっつかない割り切りと、落ち着き、気遣い、それにセックスのテクニックなど、若い世代には太刀打ちできないところが盛りだくさんである。一見、地味な服装や、ふくよかな体型で、性に奔放でないような口数の少ない女でも、いったん性的モードに入ると、そのエロさと妖艶に溢れていたりする。俺に依頼する熟女たちの魅力は「底なしの沼のごとき欲望」である。そういう女たちは、自分のことを“女”として扱ってくれる男との出会いを心の底で待ち望んでいるのかもしれない。だがセフレのような「ヤレるだけの関係」を求めている女は少ないのもこの世代の特徴である。先にも書いたように「夫との冷たい関係」を悩み① 女として扱われない寂しさを埋めたい② 優しく抱きしめられたい③ 女として見られたいと思っている。でも、もしセックスするような機会があるとしても④ 家庭を壊す恐れのない人⑤ 常識のある人⑥ 年齢をバカにしない人後半の3点はかなり重要なポイントで、夫以外の男に股を開くのである。～つづく～