由美と美弥子 3038

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     この性癖の行き着く先に、人として生きる道はないだろう。 自分の絶望的な未来の姿が、黒い影のように脳裏を過ぎった。 あの舞台で由美に鞭打たれ、そして最期には、自然便を排泄するのだ。 観客たちの視線を浴びながらだ。 それは、空恐ろしい想像だった。 顔は、マスクで隠せるかも知れない。 しかし、この特徴ある大柄な身体は隠せない。 街中で舞台を見た客に出会ったら、見極められてしまうかも知れない。 その先には、どんな展開が待っているのか。 もちろん、幸せな行く末などあり得ないだろう。 この性癖が、これ以上エスカレートしてしまうことは、自分の将来を奪うことだ。 そう自戒していた。 しかし……。 トイレでの排泄に満たされない思いは、募るばかりだった。 由美に鞭打たれるプレイの最期も……。 火照った尻から排便したかった。 しかし、それがトイレでは、あまりにも物足りない。 かといって、トイレ以外の居室内での排泄には、やはり二の足を踏んでしまう。 後始末という問題がある。 あとは臭いだ。 どんなに消臭しても……。 ここで脱糞したという記憶がある限り、幻臭のようなものから逃れられないのではないか。 由美に鞭打たれる日常は、甘美ではあったが……。 排泄で終われない最期に、真円の充足は得られなかった。 しかし、これ以上、エスカレートするのは、あまりにも危険に思えた。 日常生活での排泄は、あくまで日常的な営みに留めおくべきだ。 人の世界を踏み越えないために。 美弥子の求める排泄は……。 日常とは隔絶した場所、シチュエーションでの、特別なプレイとすべきなのだ。 十分な準備をし、安全を担保した上で行われなければならない。 そうだ。 たとえば、由美の叔母に招待された高原の貸別荘。 今はもう、涼しすぎるだろうが。 涼しすぎるというわけは……。 むろん、野外で裸になるにはという意味だ。 あの別荘の裏には、野外デッキがあった。 デッキの先は、崖と云っていいほどの角度で斜面が落ちこんでいた。 斜面には、びっしりと雑木が茂っていた。 斜面の下までは見透せない。 おそらく底は、沢になっているのではないか。 いずれにしろ、そんな斜面に人家はないし、登って来ようという人間もいないだろう。 目を水平に上げれば、林の梢を透いて見えるのは……。 遠い山並みと青い空だけだった。由美と美弥子 3037 <目次> エロ本を拾った話
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