人間の業 ― 綺麗事の裏側 第120話:【連載】知っておきたい認知症のコト 第20回
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2026-10-28 20:00:00
人間の業 ― 綺麗事の裏側 第120話副題:「変わる言葉かけ」と「伝わるコミュニケーション」の工夫認知症が進行すると、こちらの言おうとしていることが伝わりにくくなったり、相手の返答が噛み合わなくなったりすることが増えていきます。しかし、「言葉の意味」を理解する力が落ちてしまっても、「相手の表情や声のトーンから感情を読み取る力」は最期まで残りやすいと言われています。今回は、日々のやり取りがスムーズになり、お互いのストレスを減らすためのコミュニケーションのポイントを整理します。1. 伝わりやすくする言葉かけの基本主語と動詞を明確に(1文を短く)✖「そろそろお昼だから、洗面所で手を洗ってテーブルに座ってくださいね」◯「手を洗いましょう」(洗面所へ案内)→「こちらに座りましょう」長い説明や一度に複数の指示を出すと、途中で頭の中が整理できなくなります。「1回につき1つの行動」を伝えるのがコツです。「〜しないで」を「〜しましょう」へ変換する✖「外に出て行かないで!」◯「一緒にお茶を飲みましょう」「こちらで少し休みましょう」否定形(〜しないで)は相手に強い警戒心や拒絶感を与えやすくなります。次に取ってほしい行動を肯定形で伝える方が受け入れられやすくなります。過去や未来ではなく「今」に焦点を当てる✖「昨日も言いましたよね?」「明日の朝、病院に行きますよ」◯「今から少しお出かけしましょう」短期記憶が薄れている場合、過去の記憶を問いただされると追い詰められた気持ちになります。また、遠い未来の予定も不安の原因になるため、伝えるタイミングは「直前」が適しています。2. 非言語コミュニケーション(言葉以外の伝え方)を活かす言葉そのもの以上に、周囲の態度や環境が安心感を左右します。目線を合わせる(上から見下ろさない)立つ・座るの位置を相手と合わせ、正面または少し斜め前の自然な位置から視線を合わせます。上から見下ろす姿勢は圧迫感を与えてしまいます。ゆったりとした動作とトーン落ち着いた低めの声で、普段より少しゆっくり話します。焦っている様子やイライラは、声のトーンや身体の硬さからそのまま相手に伝わってしまいます。ジェスチャーや実物を活用する「服を着替えましょう」と言うだけでなく、服を見せながら伝える、「お茶にしましょう」と言いながら湯飲みを指さすなど、視覚的な情報を足すことで理解が格段に早まります。3. 話が噛み合わないときの対応事実の訂正よりも「感情」に寄り添うたとえば「家に帰ります」と言われたとき、「ここがあなたの家ですよ」と正論で返しても安心できません。「家で何か気になることがありますか?」「おうちのことが心配なんですね」と、その発言の裏にある「不安や焦り」を受け止めることが第一歩です。否定せず、一旦頷いてから話題を変える(方向転換)誤解や幻覚(誰もいないのに「人がいる」と言うなど)があっても、無理に否定せず「そう見えたのですね」と一言受け止め、さりげなくお茶を勧めたり別の場所へ誘ったりして視線をそらす対応が効果的です。認知症の方との会話において大切なのは、「正しい言葉を理解させること」ではなく「安心感を感じてもらうこと」です。言い回しや接し方を少し工夫するだけで、相手の表情がやわらぎ、穏やかな時間を増やしていくことができます。>この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。



