マゾの言葉というのは愉快なものだ。世迷言、怪文書のようなラブレター、落書き、立て看板、呟き。校正の入っていないテクストのすべてにくらくらするような魅力と吐き気を感じる。あるとき、「私は三津香様に全財産をお捧げしたいんです、良いですか？」と尋ねられた。私の中の神様が微笑む。いつも彼はそう尋ねるから、私は同じように答える。彼の言葉の裏に犇めく、無数の奴隷たちの呻き声と背徳感を想いながら。言葉を吐き出すと同時にゆっくりとそれらを味わう。そんな時にそれ以外の答えなんてあるだろうか。あるとき、綺麗という言葉は貴方のためにある言葉なんですねと言われた。そうね、でもそれはちょっと言いすぎと笑いながら私は答える。私が愛する猫ちゃんに歌を歌ってあげるときのように、完璧に心を許している様子。でも、それではまだ足りない。三津香様は私にとって神様みたいなんです、とマゾが言う。すべてなんですと言うときの、震える眼と声が好きだ。マゾの世迷言はいつも愉快だ。私の中の神様が君たちのすべてを肯定するとき、私もやっぱり奇跡を眼にしている。