由美と美弥子 3332

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Mikiko’s Room
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2021-07-02 05:43:06
- Niconico
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「週刊誌なんかで喧伝されてる実態とは違うみたいね。 バージンのまま卒業する子も多かったってこと?」「アンケート取ったわけじゃないんでわかりませんけど……。 雰囲気では、大半がそうだったと思います」「あなたもその1人?」「でした」「“でした”って過去形? 今は違うの」「はは。 今も一緒ですね」「卒業してからも、出会いはなかったわけね」「1度、会社の飲み会がはねたあと……。 ホテル街の方に連れて行かれそうになったことがあります」「断ったわけね」「免疫、ありませんから。 女子高育ちで。 憧れるっていうか、恋愛感情を持つのは……。 女子ばっかりでした」「じゃ、女性との関係は?」「ありません。 手紙を渡したくらい」「どうやら、あなたが殻を破れないでいるのには……。 そこらへんにも原因があるのかも。 これから荷が重くなるばかりよ。 バージン、背負ってたら。 バイト先とかで、出会いはあるでしょう?」「ダメです。 免疫がなくて。 身構えちゃうんですね。 なんだか……。 思い描いてた未来から、どんどん遠ざかってくみたいで。 辛いっす」 香織は、骨を抜かれた烏賊のように、椅子にもたれかかった。「まだ飲める?」 頷いたが、上の空のようだ。 絵里子は、缶ビールを取りに立った。 自分が飲みたいからだった。 この太鼓腹を作った憎いビールだが……。 どうしても別れられそうにはない。 冷蔵庫の缶が残り少なくなったので……。 床下収納を開き、6缶パックを取り出す。 ストックは、もっと取りやすいところに置きたいのだが……。 やはり、夫や息子の目が気になる。 夫は、家で飲むことはほとんどなかった。 冷蔵庫の補充を済ませ、冷たい缶を持ってテーブルに戻る。 香織は、がっくりとうなだれている。 テーブルに、香織のグラスが見あたらない。 床に落とした音は聞こえなかった。 身を乗り出し、香織の手元を覗きこむ。由美と美弥子 3331 <目次> エロ本を拾った話