由美と美弥子 3272

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 遊歩道のところどころにはベンチが置かれていた。 お弁当を、ここで食べるOLもいるのではなかろうか。 しかし、ランチタイムを過ぎたこの時間には、誰の姿も見えなかった。「少し座らない?」 典子が立ち止まったのは、木立に囲まれたベンチだった。 旺盛に徒長枝を伸ばした灌木が、ベンチを囲むように茂っている。 典子は薫の手を引き、ベンチに導いた。 頭上には落葉高木が葉を広げ、日差しも遮られている。 並んで腰掛けた。 ショルダーバッグをベンチに下ろす。 教授時代は、常に重たいバッグを持ち歩いていた。 その癖が抜けず、手ぶらで外に出ると心許なかった。 なのでいつもバッグを持ち歩く。 とは云っても、教授時代とはまったく違うデザインのものだ。 以前は、重い書籍を入れてもへたらない丈夫一辺倒のバッグだった。 しかし今日のは、裾の広がったナイロンのバッグだ。 バッグのサイド面には、フリルが重ねられている。 形状が三角形なので、女性がドレスを着ているようにも見える。 紺色のナイロンの襞がつやつやと光り、夜会のドレスのようだ。 中には、大したものは入っていない。 今のなりわいでは、持ち歩く必要のあるものなど、ほとんどないからだ。 スマホがあれば事足りる。 しかし……。 それでは、バッグがスカスカだ。 なので、いらないものも入っている。 ひょっとしたら今日は、それが役立つかもしれない。 ま、それは置いといて。 典子は、チュニックの腰に巻いたスカーフを解いた。 チュニックのウエストが広がる。 元々、ウエストが絞られていないデザインだった。 典子の体型でそのまま着ると、アッパッパにしか見えない。 なので、スカーフで腰を絞っていたのだ。 典子は、薫の腿に、自分の腿を密着させた。 薫は典子よりは背が高く、165㎝くらいはあるいだろう。 典子とは、15センチ近い身長差がある。 改めて並んで座って、典子は思わず吹き出しそうになった。 目線の高さが、ほとんど変わらないのだ。 つまり、15センチの身長差がありながら、座高はさほど違わないということだ。 実際、ベンチから突き出た膝頭は、薫の方がずっと先にあった。由美と美弥子 3271 <目次> エロ本を拾った話
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