「はい、座って」　肩を押さえる。「あ」　槻本くんの膝裏がテーブルの縁にあたって、かくんと膝が折れた。　そのまま尻が、テーブルのクッションカバーに落ちた。「はい、観客、オッケーね。　ほら、昭夫。　あんたが主役なんだから」「なんのだよ」「わたしたちがこれから演じるのは……。　ほんとの夫婦の姿。　テレビの『サザエさん』では、ぜったいに放映されないシーン。　すなわち！　サザエさんとマスオさんのセックスシーンよ。　してないわけ、ないわよね。　タラちゃんが生まれてるんだから。　でも、わたしたちの歳なら……。　波平とフネの方が近いか。　もちろんこの2人も、お盛んよ。　サザエさんに、カツオやワカメも生まれてるんだから。　さ、始めるわよ。　題して……。　『裏サザエさん』。　ほら、さっさと脱いで」　志津子は、膝下丈のチュニックを引っ張りあげた。　普段から部屋着として着ているもので、ストンとしたシルエットだ。　このまま料理も作るし、買い物にも行く。　裾下が素足だと外に出にくいらしく、いつも、黒いスパッツだかレギンスだかを履いている。　布地が足首までなので、ストッキングとの区別は出来るが……。　スパッツとレギンスが、どう違うのかはわからない。　志津子は、スパッツはインナーで、レギンスはアウターだと言っているが。　ゆったりしたチュニックが取り去られると、年相応のシルエットが現れる。　志津子は、長袖のＴシャツから腕を抜きかけたところで止まった。「昭夫くん。　何、見てんのよ。　あんたも脱ぐんでしょ」「おい」「甥も姪もない！」　また出た。　昭和ギャグ。由美と美弥子 3218 ＜目次＞ エロ本を拾った話