「それは、子供の前だったからよ。　奥さんと2人きりのときは違ったはず。　あなた、何人兄弟？」「兄と2人です」「あなたたちが出来たということは……。　当然、奥さんとの間で、そういう行為があったということよね」「そうなんですよね。　高校生くらいになってから、それに気づいて……。　かなりショックでした」「コウノトリに運ばれてきたと思ってた？」「そんな感じです」「あなたが結婚できないわけ、なんとなくわかっちゃった」「やっぱり、ファザコンですか」「ていうか、まだまだ夢見る乙女ってことよ。　リカちゃん人形の世界にいるのね。　リカちゃんのパパとママが……。　セックスしてるとこなんか、想像できないでしょう」「あり得ないです」「あり得なかったら、どうしてリカちゃんが出来たわけ？　コウノトリ？」「なんだか、スゴい責められてる」「そうよ。　現実を見なきゃ」「副工場長、助けてください」「はは」「ほら、その上目遣い。　パパは助けてくれないわよ。　あなた……。　殻を破らないとね。　現実を見るの」「どうやったら見れるんですか？」「そうね……。　けしかけるだけで放っぽり出すのも無責任だわね。　よし。　見せてあげるわ。　この副工場長さんのほんとの姿を」「なんでおれに振るんだよ」「あんたの正体を知ることで、槻本さんの足が地に着くの。　男なんてこんなもんなんだって。　そしたらもう、男を前にしたとき、肩にヘンな力が入ることもなくなるわ」「正体って、悪人みたいじゃないか」「少なくとも、善人じゃないわよね。　槻本さん。　このおっさんね、このマンションでも、隣の未亡人に手を出したのよ」「……。　ショックです」「手を出したって。　おまえがけしかけたようなものだろ。　ご主人を亡くしたばかりで、気の毒だって」由美と美弥子 3215 ＜目次＞ エロ本を拾った話