由美と美弥子 3155

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     まさか……。 ご主人の幽霊が来ている? いや。 そんなわけはない。 あるはずがない。 しかし、好奇心を抑えられなかった。 震える手で引き戸をそっと滑らせ、隙間を作った。 仏壇の前の吉崎さんが見えた。 幽霊は……。 見えない。 幽霊だから見えないのだろうか。 いや。 幽霊など、最初からいないのだ。 畳には、缶ビールの空き缶が転がっていた。 しかし、床に散らばっているのは、空き缶だけではなかった。 衣服だ。 明らかに、着ていたものだろう。 なぜなら……。 吉崎さんは、全裸だったからだ。 仏壇の前で、畳に尻を落としている。 片手を後ろに突いていた。 もう一方の手は、前に回っている。 股間だ。 手の先は、丸々とした太腿に隠れて見えない。 しかし、何をしているのかは明白だった。 自らの性器を触っているのだろう。 いや。 触るなどという行儀の良いものではない。 弄っている。 嬲っている。 しかし、手首までしか見えないが……。 動作は拙く思えた。 おそらく、旦那さんを失うまで、オナニーなどしたことがなかったのではないか。 わたしみたいに長い独身時代を過ごした女の、熟練の手業とは大違いだ。 しかし、吉崎さんの裸は見事だった。 綺麗というわけではない。 豊満……。 いや、それを通り越している。 膨れた腹が突出していた。 乳房も、ホルスタイン級だ。 しかも、わたしと違って、まだそれほど垂れていない。 昭夫が見たらと思うと、嫉妬を感じるほどだった。「ひぃっ。 いぃ。 いぃ」 拙いながらも、快感は得られているようだ。 しかしあれでは、なかなかイケないのではないか。 畳に突いた手がプルプルと震える。 わたしの脛ほどありそうな、太い二の腕だった。 その肘が、重い上体を支えきれなくなったのだろうか、かくんと折れた。 背中が畳に落ちた。 頭が後ろに倒れた拍子に、顔がこちらを向いた。 目が合った。 知らないうちに、引き戸の隙間を広げていたようだ。由美と美弥子 3154 <目次> エロ本を拾った話
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