由美と美弥子 3145

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Mikiko’s Room
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2020-10-09 06:14:03
■「お隣の吉崎さん、あなたに気があるんじゃないの?」 夕食のテーブルだった。 憧れだったという専業主婦になった志津子は、毎晩、心づくしの料理を用意してくれていた。 買って来た惣菜を並べたようなものではない。 食器棚には、レシピ本が並んでいた。 まさに、新婚夫婦の食卓だ。「美味しい?」「うん」 最初は気恥ずかしかった会話にも、すっかり慣れてしまった。 実はわたしも、吉崎さんの妙な態度には気がついていた。 最初は、引っ越しの挨拶に、隣の部屋を訪ねたときだった。 もちろん、そのときが初対面だったのだが、わたしを見て驚いた様子だった。 その後、マンションの廊下ですれ違うときなど……。 頭を下げながらも視線を逸らし、どぎまぎした素振りがあからさまだった。 志津子が勘ぐるのも無理はない。「ほんとに初対面なの?」「まったく知らない人だよ」「外観が変わったのかも知れないわよ。 昔、すごく痩せてたとか」 吉崎さんは、そうとうにボリュームのある体型だった。 豊満を少し通り越したレベルだ。「でも、あのタッパの女性は滅多にいないよ。 知ってたら忘れるはずないさ」 おそらく、170㎝はあるのではないか。 あの身長であの肉付きなら、体重は90kgを越えていてもおかしくない。「そうよね。 でもあなた、好きでしょ? ああいうタイプ」 笑って誤魔化すしかなかった。 吉崎さんは、まさにわたし好みの体型だったのだ。 志津子との新婚生活は、われながら呆れるほど楽しかった。 知らない土地、新しい住まい。 見るものすべてが、真新しいものばかり。 自らが経てきた時間を、実感させられることがない。 それが、お互いの年齢を忘れさせてくれたのかも知れない。由美と美弥子 3144 <目次> エロ本を拾った話