人間の業 ― 綺麗事の裏側 第59話:ルッキズム(容姿差別)によるトラウマと歪んだ生存条件
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2026-08-24 20:00:00
人間の業 ― 綺麗事の裏側 第59話(前編)副題:「可愛くなければ、人権なんてない」「可愛くなければ、人権なんてない」彼女の名前は、美咲(みさき)。33歳。今でこそ、誰もが振り返るほど整った顔立ちと、しなやかに伸びた肢体を持つ女だが、かつてはそうではなかった。小 学 校から高校1年まで、毎日が地獄だった。「ブス」「臭い」「近寄るな」。机に落書きされ、教科書を破られ、トイレに閉じ込められた。先生は見て見ぬふりをし、親は「気にしすぎ」としか言わなかった。その頃から、彼女の中で一つの確信が固まった。「可愛くなければ、人間として扱われない」「人権なんて、美しさの値段で決まる」高校を中退したあと、彼女は貯金をすべてつぎ込み、整形に走った。目、鼻、顎、胸。骨を削り、脂肪を注入し、皮膚を張り直した。麻酔から覚めたときの痛みは、い じ めの痛みより遥かに鋭かったが、鏡に映った自分を見た瞬間、初めて「生きていい」と思えた。だが、整形は終わりではない。だが、整形は終わりではない。維持費がかかる。化粧品、エステ、ブランドの服、定期的な修正手術。普通の給料では足りない。彼女は会社の更衣室で、同僚の高価な化粧品や下着を静かに持ち去るようになった。捕まったとき、取調室で彼女は淡々と言った。「綺麗でい続けるためなら、何でもする」出所後、美咲は別の道を選んだ。体を売る道だ。今夜も、高級ホテルのスイート。男は40代の実業家で、彼女の整形後の体を「芸術品」と呼ぶ。美咲はシーツの上に横たわり、自分の脚をゆっくりと開いた。脚の付け根から太腿にかけて、白い肌が淡い光を弾く。男の視線が、そこに吸い寄せられるのがわかった。「触って」彼女が囁くと、男の指が直接、熱いところに触れた。美咲は軽く腰を浮かせ、自分から押しつける。指が沈み、濡れた音が部屋に響く。彼女は目を閉じ、吐息を漏らしながら、頭の中で別の映像を再生していた。い じ められていた教室。自分を嘲る声。そして、整形手術台の白いライト。「可愛くなければ、人権はない」その言葉が、快感と一緒に体を駆け巡る。男が覆い被さり、熱いものを一気に奥まで押し込んできた。美咲は声を上げた。痛みと快楽が混じり合い、子宮の奥が熱く痙攣する。男が腰を打ちつけるたびに、彼女の胸が揺れ、整えられた顔が恍惚に歪む。汗が額を伝い、首筋を濡らす。「もっと……深く」彼女は脚を男の腰に絡め、爪を背中に立てた。男が喘ぎ、加速する。美咲の中で、何かが弾けた。白い光が視界を埋め、体が弓なりに反る。その瞬間、彼女ははっきりと思った。「ああ……これでいい」「私は今、美しい」「だから、生きていい」男が吐き出し、重みを預けてきたあと、美咲は静かに彼を押しのけ、鏡の前に立った。裸の自分が映る。完璧に整えられた顔。汗に濡れた髪。まだわずかに痙攣する下腹部。彼女は指先で自分の唇をなぞり、微笑んだ。その笑みは、どこか空虚で、どこか満たされていた。翌朝、美咲は新しい顧客からのメッセージを確認した。「今夜、会える?」彼女はすぐに返信した。「はい。綺麗にしてお待ちしています」窓の外で朝日が昇る。彼女はカーテンを開け、光を浴びながら、静かに呟いた。「可愛くなければ、人権はない」「だから私は、これからも綺麗でいる」「どんな手段を使ってでも」――人間の業は、美の名のもとに、静かに、そして官能的に、腐り続けていく。(59話 後編に続く)人間の業 ― 綺麗事の裏側 第59話(後編)副題:「欲望の果てに、咲く毒花」美咲(みさき)、33歳。今でこそ誰もが息をのむほど整った容姿を持つ彼女だが、その過去は悲惨を極めていた。小 学 校から高校1年まで続いた惨絶ない じ め。「ブス」「臭い」と罵られ、机には落書き、教科書は破られ、トイレに閉じ込められる日々。教員は目を背け、親は「気にしすぎ」と片付けた。地獄の中で彼女の中に刻み込まれたのは、ひとつの冷酷な教訓だった。——美しくなければ、人間として扱われない。高校を中退した美咲は、アルバイトで泥のように働いて貯めた金をすべてつぎ込み、美容外科の扉を叩いた。目頭を覆う重く野暮ったい蒙古襞(もうこひだ)を切り裂く目頭切開に30万円。鼻筋を通し、鼻先と顎先を結ぶ「Eライン」の上に収まるよう、突き出た口元を引き下げ、顎の骨を削り落とす骨切り手術に200万円。脂肪を注入し、皮膚を張り直す。一回で数百万円単位の小切手が吹き飛び、麻酔から覚めたときの激痛は心に負った傷よりも鋭かったが、鏡に映る「理想の Eライン」を手に入れた瞬間、彼女は初めて生きている実感を抱いた。しかし、整形は一度買えば終わりの商品ではない。美の維持には底なしの金がかかる。高額な基礎化粧品、エステ、ブランド服、そして定期的なヒアルロン酸注入や修正手術。年間数百万単位の維持費は、普通の給料では到底追いつかない。困窮した彼女は勤務先の更衣室で同僚の高級コスメや下着、果てはクレジットカードに手を伸ばし、やがて逮捕された。「綺麗でい続けるためなら、何でもする」取調室で淡々と言い放った彼女は、出所後、さらなる深淵へと足を踏み入れる。体を売る道だ。今夜の相手は40代の実業家。高級ホテルのスイートで、男は数千万円の巨費によって創り出された彼女の体を「芸術品」と称えた。美咲はシーツの上で脚を開き、男の視線を吸い寄せる。「触って」と囁く彼女の肌を男の指が撫で、湿った音が部屋に響く。体に走る熱を感じながら、美咲の頭裏にはかつての教室と、白い手術台のライトが交錯していた。男が覆い被さり、奥深くへと貫く。目頭を切開した瞳から零れ落ちる涙と快楽が混ざり合い、美咲は悲鳴に近い声を張り上げた。男が腰を打ちつけるたび、削り出した骨の形、計算し尽くされた顔面構造が壊れそうになるが、それこそが彼女が長年求め続けた存在を強力に肯定していく。「もっと……深く」爪を男の背に立て、絶頂の果てに彼女は確信した。今、自分は完璧に美しい。だから、生きる価値があるのだと。行為の後、鏡の前に立った美咲は、汗に濡れた自らの肉体を静かに見つめ、空虚で満たされた笑みを浮かべた。スマホには次の顧客からのメッセージ。『今夜、会える?』『はい。綺麗にしてお待ちしています』窓から差し込む朝日を浴びながら、彼女は静かに呟く。どんな手段を使ってでも、私は綺麗であり続ける——美という名の業に身を焼き尽くしながら、彼女の日常は続いていく。(第59話 完)>※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。#人間の業 #歴史の循環 #心理小説 #綺麗事の裏側この話が気に入ったら、ランキングバナーをいただけると励みになります。
