人間の業 ― 綺麗事の裏側 第41話:虚栄の姉妹 ―― 秘められたマウント、マウントの裏に蠢く見栄の膜 ――

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人妻・熟女の不倫実話と創作官能小説 | 知佳の美貌録 1view
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    人間の業 ― 綺麗事の裏側 第41話(前編)副題:見栄の中間地点美里は、さっきの会話の余韻を振り払うように、わざと明るい声を出した。知佳の前で取り乱してキレてしまった自分を、少しでも取り繕い、誤魔化したかったのかもしれない。「そういえばね、妹の留美の話なんだけど」知佳は何も言わず、静かに茶杯を傾けるだけであった。美里は言葉を続けた。「留美、大阪の泉南でマンション暮らしをしてるの。瀟洒な感じで、部屋からの眺めもいいらしくてね。それでね、この前『行列のできる店に入りたい』って言い出して。ネット予約がすぐ満席になっちゃうから、旦那に『予約して来い』って命じたんだって」美里は少し得意げに、嘲笑うような笑みを浮かべた。「場所がね、奈良なの。いくらなんでも大阪から奈良は遠すぎるでしょう。私、そう言ってやったのよ」知佳は軽く頷いた。美里はそこからさらに、早口で言葉を重ねていく。「実はね、私も最近、一戸建てを建てたの。留美がマンションって誇らしげに言うから、つい対抗して……みたいなところもあったのかな。でも、うちはちゃんと庭付きだし、子供たちものびのび育ってるしね」美里の声には、隠しきれない焦りのようなものが混じっていた。妹にだけは絶対に負けたくない、常にタメを張るか、上に立ちたいという執着。妹がマンション住まいだと知った瞬間、自分は庭付きの一戸建てだと強調せずにはいられなかったのだ。ところが、話はそこで終わらなかった。「でね、よくよく話を聞いてみたら、留美の旦那の会社が奈良にあるのよ。毎日そこへ通勤してるの。しかも、うちの実家が、会社とマンションのちょうど中間地点にあるらしくてね。独身時代は実家から通っていて、通勤費も全額会社持ちだった。今はマンションまでの距離が長すぎるから、実家から先は自腹らしいんだけど……」美里はそこで、ふっと力なく溜め息を吐いた。「だから、旦那が会社に行くついでにレストランに立ち寄って、予約のチケットをもらってくるだけだったの。わざわざ遠出させたわけでも何でもなくてね」知佳は静かに微笑みを浮かべた。「姉妹なのに、お互いの亭主の込み入った事情はあまり話さないのね」美里は苦笑いを浮かべた。「そうなの。久美には内緒で、何でも相談し合う仲のいい姉妹のつもりなんだけど……。なぜか亭主のことだけは、お互いに深く触れたくないみたい。要するに、お互い見栄っ張りなのよ。私も、一戸建てを建てたことばかり強調して、留美の生活の実情をちゃんと聞いてあげなかったしね」テーブルの上に置かれたお茶の湯気が、ゆっくりと空中で揺れていた。姉妹は、表向きはすこぶる仲が良い。他の人間には言えない秘密を共有し、互いの愚痴を聞き合う。けれどその綺麗事の裏側には、必ず「見栄」という名の薄い膜が張り巡らされているのだ。マンションか、一戸建てか。大阪から奈良までの無謀な遠出か、単なる通勤のついでか。会話の端々に、相手より少しでも優位に立ちたいという、小さくも醜い業がじわりと滲み出る。美里は茶杯を両手で包み込むように持ち、低く呟いた。「綺麗事ばかり並べてるけど……。結局、私達はどこまで行っても、見栄の塊なのかもしれないね」知佳は何も言わなかった。ただ、静かに微笑んだまま、美里の横顔をじっと見つめていた――。(第41話 後編へ続く)人間の業 ― 綺麗事の裏側 第41話(後編)副題:虚栄の姉妹 ―― 遠い街の静寂、果てへと走る狂気の逃避行 ――「留美には……大阪の泉南で優雅に暮らす妹には、口が裂けても言えないわ」美里は両手で包み込んだ茶杯を見つめたまま、絞り出すような声で呟いた。彼女が「庭付きの一戸建てで子供たちものびのび育っている」と妹に誇らしげに語っていたその住処は、決して洗練された都市部などではなかった。都心から遠く離れた静かな街に建てた一戸建て。それ自体は決して悪いものではない。しかし、大阪のマンションで優雅な生活を送る妹への対抗心から生まれた「見栄」のフィルターを通すと、その静けさはそのまま自らの孤独と停滞を突きつける檻へと姿を変えるのだ。「知佳さん……。私、自分が恐ろしいの」美里の指先が、微かに震えていた。彼女が妹に隠しているのは、単なる住環境のギャップだけではなかった。家庭生活の裏側に張り巡らされた、狂おしいまでの不貞と支配の構図であった。美里には、密かに執着している男がいた。かつて自らの過ちに関わった、例の補導員の男である。その男からの通信が途絶え、相手にされなくなると、美里の胸中には狂気じみた苛立ちと焦躁が渦巻く。 正気を保てなくなった彼女が取る行動は、あまりにも身勝手で酷悪なものであった。「あいつが冷たくなるとね……私、居ても立ってもいられなくなるの。 だから、何も知らない旦那を甘い言葉で焚きつけて、車を出させるのよ」夫を言葉巧みに操り、自宅から幾つもの県を跨ぐような、果てしない遠方へと長距離のドライブへ連れ出させる。「たまには夫婦で遠出しましょう」「美味しいものでも食べに行かない」――そうやって甲斐甲斐しい妻の仮面を被りながら、その実、頭の中は補導員の男への執着と、満たされない自尊心でどろどろに乱れ飛んでいるのだ。自分を拒絶した男への当てつけのように、夫の好意と労力を徹底的に搾取し、長距離のハンドルを握らせて見知らぬ遠い土地を彷徨う。夫が汗をかきながら運転している隣で、美里はスマートフォンの画面を凝視し、補導員からの通信を今か今かと待ち続けている。「大阪から奈良へレストランの予約に行かせた留美の旦那のことを、私は『遠すぎる』って馬鹿にして笑っていたわ。 でも……本当の異常者は私の方だったのよ。 補導員に相手にされない腹いせに、何も知らない旦那を焚きつけて、留美たちの比ではないくらいの圧倒的な遠方まで車を走らせているんだから」美里は自嘲気味に冷たく笑った。妹の見栄を笑い、マウントを取ることで上書きしようとしていた自らの生活。 しかしその実態は、補導員への歪んだ執着と、実の夫を奴隷のように弄ぶ醜い逃避行に過ぎなかったのだ。知佳は、静かに美里の言葉を受け止めながら、ゆっくりとお茶を注ぎ足した。「人間は誰しも、自らの内にある空虚さを隠すために、遠くへ走りたがるものよ」知佳の落ち着いた声が、室内に静かに響く。美里はその温かいお茶を一口含み、深く目を閉じた。見栄という名の不毛な張り合い。見知らぬ果てしない遠方へと車を走らせる狂気。綺麗事の皮を一枚剥ぎ取れば、そこにはどこまでも自分本位で、愚かで、哀れな「人間の業」が渦巻いているのであった――。(第41話 完)>※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。#人間の業 #歴史の循環 #心理小説 #綺麗事の裏側この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。
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