人間の業 ― 綺麗事の裏側 第36話:肉体の張り子、空洞の美学

人間の業 ― 綺麗事の裏側 第36話:肉体の張り子、空洞の美学の画像
画像2枚
人妻・熟女の不倫実話と創作官能小説 | 知佳の美貌録 3view
    動画リンク0本 埋め込み動画0本
    人間の業 ― 綺麗事の裏側 第36話(前編)副題:欲望の収支決算(対価と偽飾)新潟、古町。昼下がりの薄光が、ソープランドのガラス扉に鈍く反射していた。店内の白いシーツの上では、女たちが「仕事」を終えたばかりだ。エアコンの冷気に、汗と体液の匂いが微かに混じり合って漂う。女たちは脱衣所へ向かい、シャワーを浴びると、鏡の前で淡々と化粧を直し始めた。まるで工場のライン作業を終えた作業員のように、動作に迷いがない。一人の女――仮に美咲と呼ぼう――は、鏡に映る己の顔をじっと見つめた。「……今日も、ちゃんと稼いだ」唇が微かに歪む。笑顔ではない。収支を弾き出すような、冷たく計算された線だ。美咲は二十五歳。表向きは「普通のOL」を装い、週末だけこの店に出勤している。各種オプションをフルでつければ、一日の報酬は二十万円を超えることもあった。性欲を満たしながら、高額な金を手に入れる。この「二重の利得」が、彼女の日常を支えていた。シャワーの湯気の中で、彼女は自分に言い聞かせる。(私は買われているんじゃない。ただ、欲望を交換しているだけ。相手は満たされ、私は金を得る。双方に利益がある、極めて健全な取引よ)「健全」――その言葉を心の中で呟いた瞬間、胸の奥で誰かがくすっと笑った気がした。だが、気にしない。銀行口座に積み上がる数字は、彼女の「次のステージ」への一等切符だ。美容クリニックの予約。高級コスメの定期便。パーソナルトレーナーの契約。エステの回数券。そして、マッチングアプリのプロフィール写真を更新するための、計算し尽くされた自撮り。「この金で、私はもっと綺麗になれる。もっと“価値のある男”を落とせる。今の客なんて、ただの燃料。本物の獲物は別にいる」鏡の中の美咲は、すでに作られた顔をしていた。二重まぶたは人工的に整えられ、鼻筋は高く、唇にはヒアルロン酸が丸みを与えている。徹底的に磨かれた肌と、ジムで引き締められた体。すべては、この店で回収した「性の対価」によって構築された、偽物の美貌だった。タオルで髪を拭きながら、隣のロッカーで化粧を直す女に声をかける。「ねえ、今日の客どうだった? 私のやつ、すぐ終わっちゃってさ。もっと長く遊んでくれないと、オプション付けた意味ないんだけど」相手の女――玲奈が、乾いた笑いを漏らした。「私のは逆。全然終わらなくて腰が死にそう。でもさ、来月のヒアルロン酸の予約入れちゃった。この金でもっと可愛くなるんだから。今度こそ、いい男落とすよ」二人の会話は、まるでサロンの世間話のように軽やかだった。性を売り、金を得て、その金でさらに外皮を磨き、次の男を狩る。彼女たちはこの円環を「自己投資」と呼び、「前向きな生き方」だと疑わない。だが、鏡の奥の暗がりから、冷ややかな声が囁いていた。――お前たちは、ただのヤリたがりの牝だ。色気という外皮を除けば、中身はすっからかん。金と欲望と他人の視線でしか己を保てない、空っぽの器。美咲はその声を無視し、ポーチからリップを取り出すと、丁寧に唇を彩った。「綺麗」を重ねるほどに、内側の空洞がどこまでも広がることに気づかないまま。店を出た美咲はスマホを取り出し、マッチングアプリを開く。プロフィール写真は、昨夜エステの直後に撮影した完璧な笑顔だ。すでに10件以上のメッセージが届いている。『かわいいね』『今度飲みに行かない?』『君みたいな子を探してたんだ』彼女は小さく口元を緩めた。その笑みは、ついさっきまでの「仕事」で見せていたものと、まったく同じ人工的な曲線だった。(次はもっと上の男を。金も地位もある、本物の獲物を)夜の街へと消えていく美咲の背中は、確かに美しかった。だが、アスファルトの上に落ちた影は、どこまでも長く、汚らしく伸びていた。(第36話後編に続く)人間の業 ― 綺麗事の裏側 第36話(後編)副題:皮肉な解剖(消費される美貌)ご提示いただいた前編(プロット・前半原稿)の持つ冷徹な視座とテーマ性を汲み取り、ご要望である「無知な直刺しの罵倒を排し、観察眼・皮肉・解剖・静かな蔑視によって相手の本質を文学的に解体する」表現を追求した【後編】を執筆いたしました。人間の業 ― 綺麗事の裏側第36話「罵声の文学化」(後編)美咲が「本物の獲物」と定めた男は、都内の投資会社で役員を務める三十代半ばの男――裕樹(仮名)だった。マッチングアプリの無機質な一覧の中で、彼のプロフィールだけは洗練された静寂を纏っていた。仕立ての良いジャケット、選び抜かれた言葉、そして何より、彼女が最も欲していた「階層の匂い」。高級ホテルのラウンジ。ガラス越しに広がる夜景は、彼女が古町の鈍色(にびいろ)の部屋で浴びていた安価な照明とは対極の、冷たく澄んだ光を放っている。美咲はグラスの脚を指先でなぞりながら、完璧に計算された角度で微笑んだ。二重の幅、鼻筋の通った陰影、ふっくらとした唇。古町のシーツの上で得た対価を、そのまま精緻な彫刻のように顔面に流し込んだ「作品」が、いま目の前の男を魅了しているはずだった。「美咲さんは、自分というものをすごく大切に整えているね」裕樹は穏やかに微笑み、ワイングラスを傾けた。その声には、彼女が望んでいた通りの賞賛が含まれているように見えた。「ありがとうございます。自分磨きは、女性としての最低限のマナーだと思っていますから」美咲の口から滑り出たのは、美容誌から切り取ったような模範解答だ。彼女の頭の中では、勝利の計算が成り立ちつつあった。――勝てる。この男は、私の作られた美しさに眩ませられている。性欲を売って得た資金は、正しく『価値ある女』へと昇華されたのだ。しかし、裕樹が次に浮かべた笑みは、彼女の予想していた「男が女の罠にかかるとき」の生温かいものではなかった。それは、美術館の学芸員が、巧妙に作られた精巧な偽物を鑑賞するときの、哀れみを含んだ眼差しだった。「なるほど。『自分磨き』か」裕樹の指先が、テーブルの上を軽く叩く。「確かに、肌の質感を保つための支出も、輪郭を整えるためのミリ単位の切削も、見事なものだ。君の表皮は実に雄弁に語っている。そこにかかった莫大な『コスト』の履歴をね」美咲の笑みが、わずかに凍りつく。「……え?」「言葉を選ばずに言えば、君の顔からは『努力』ではなく『計算式』の匂いがするんだ。どれだけの夜を切り売りすればその鼻筋が買えるのか、どれだけの男の体温を経由すればその透明感が手に入るのか。君が自分を磨けば磨くほど、その肌の奥から滲み出ているのは、欲望の収支決算書だよ」彼の声は低く、静かで、罵倒の欠片すら含まれていなかった。だからこそ、その言葉は美咲の皮膚を通り抜け、肉を削ぎ、骨にまで達する毒となって刺さった。「君は『高められた自分』でここに座っているつもりかもしれない。だが、僕の前にいるのは、他人の性欲という粗悪な燃料を燃やして作られた、ただの肉体の張り子だ。色気という名の外壁を取り払ったとき、そこに何が残る? 思想も、孤独に耐えた歴史も、独自の美学すらない。すっからかんの、空洞だ」裕樹は冷ややかな眼差しで、美咲の瞳の奥――その「空洞」を**込むように見つめた。「君たちはそれを『自己投資』と呼んで誤魔化す。だが、その実態は投資などではない。ただの『換金』だ。自分の性を切り売りして金にし、その金で他人の視線を買い、さらに上の男へ自分を高く売りつけようとする――永遠に満たされることのない、下品な流動在庫のサイクルだよ」「……な、何を言って――」美咲の唇が震える。ヒアルロン酸でふっくらと膨らませたはずの唇が、寒さに凍えるように惨めに戦慄いていた。「バカ」とも「娼婦」とも言われていない。ただ、彼女が「前向きな生き方」と信じ込んでいた人生の全構造を、冷酷な顕微鏡の下で解剖されたのだ。「悲しいのはね」裕樹は静かに立ち上がり、ジャケットのボタンを留めた。テーブルの上に、自分の分の茶代としては多すぎる紙幣を数枚、静かに置く。「君がどれほど完璧な美貌を手に入れても、中身が『からっぽの器』である限り、本物の男は君の表皮しか消費しないということだ。古町の客が君の体を数十分だけ消費したように、僕のような男もまた、君の努力の『見栄え』だけをひととき眺めて終わる。君は一生、誰かの消費期限付きの玩具から抜け出せない」裕樹は一度も声を荒げることなく、軽蔑の視線すら投げかけることなく、ただ「そこに価値ある存在など最初からいなかった」かのように、静かにラウンジを去っていった。取り残された美咲は、一人テーブルに佇んでいた。ガラス窓に映る自分の姿を見る。二重の幅も、鼻の高さも、完璧なはずだった。だが、夜景の光を浴びるその顔は、まるで精巧に作られたマネキン――命の宿っていない、冷たいプラスチックの塊のように見えた。スマホがポケットで震える。マッチングアプリの通知だ。『今夜、会えませんか?』『すごくタイプです!』画面に群がる男たちの群れ。かつてはそれが彼女の「価値」を証明する数字だった。しかし今、彼女には分かってしまった。そこに集まっているのは、自分と同じ「安っぽい欲望の売買」を求める者たちだけであり、自分がどれだけ顔を塗り替えても、引き寄せられるのは同類の泥沼でしかないということが。美咲は化粧ポーチを取り出し、鏡を開いた。そこに映るのは、欲望で塗り固められ、中身を削ぎ落とされた、色気以外すっからかんの女。彼女は震える手でリップを塗り直そうとしたが、紅は唇からはみ出し、まるで血の跡のように、彼女の完璧だったはずの「作品」を惨めに汚していった。夜の街に溶けていく彼女の影は、どこまでも長く、空っぽで、醜かった。(第36話 了)>※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。#人間の業 #歴史の循環 #心理小説 #綺麗事の裏側この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。
    DlLsiteエロ同人ランキング(PR)
    関連記事

    記事についての意見を送る

    動画が見れない、ワンクリック広告があるなど、ページに問題がある場合はご意見をお聞かせください。

    サイト名
    人妻・熟女の不倫実話と創作官能小説 | 知佳の美貌録
    記事タイトル
    人間の業 ― 綺麗事の裏側 第36話:肉体の張り子、空洞の美学
    ご意見の内容
    メッセージがあればお書きください
    閉じる