天性の、恥ずかしい性癖 第190話:『狡猾な牝(めす)の防壁 ―― 廃墟の煙幕、連鎖する卑猥火 ――』
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2026-05-22 20:00:00
昔の勝気な面影はどこへやら、淫乱顔を晒しながら男にしがみつく。「飛び抜けて体力があり、群を抜いて優しく、そして少し気弱――」 加納秋子は、睡眠不足に陥ると、決まって朝方に届く彼からの通信画面の文面を読み返しては、高ぶる気持ちを静めていた。そこには、いつも決まって、「何かお困りごとがあれば、遠慮なく言ってください」という、くすぐったくなるほど優しい言葉が添えられていた。 その控えめで誠実な気遣いに触れるたび、秋子は彼が自分に好意を寄せているのではないかと感じていた。 だからこそ、庭仕事や重い荷物の運搬など、自分ひとりではどうにもならない力仕事を、あえて彼に頼むようになった。表向きは「困っているから手伝ってほしい」という体裁だったが、秋子の胸の内には、別の思いもあった。 ――この人は、いったいどれほどの体力と女への情熱を秘めているのだろう。 その底知れない精力を、確かめてみたい。 そんな密かな好奇心が、彼を呼び寄せていたのである。一方、夫の高雄は端正な顔立ちこそ成していたものの、気力にも体力にも乏しく、どこか頼りない男だった。 そのため秋子にとって、彼の存在は、まさに「痛しかゆし」とでも言うべきものだった。 不思議なことに、男というものは同性の前では平然と弱音を吐くことができる。 ところが、ひとたび気になる女性を前にすると、途端に「優しくて気弱な自分」を惜しげもなくさらけ出す。 彼もまた、その典型だった。 人一倍の体力を持ちながら、態度はどこまでも穏やかで控えめ。 そのアンバランスさが、秋子の心を強く惹きつけていた。そして、廃墟マンションで女たちとすっかり打ち解けた秋子は、つい胸の内に秘めていたその男の存在を、ぽろりと打ち明けてしまったのである。廃墟マンションの薄暗い一室には、女たちの熱気がむせ返るように満ちていた。 加納秋子はソファに腰を下ろし、頬を赤らめながら、ゆっくりと脚を組み替えた。 集まった女たち――百目鬼美咲、十八女遥、本堂翠咲、そして学生の冨名腰眞秀――は、期待に満ちた眼差しで秋子を見つめている。 秋子は小さく息を吐き、恥じらうように微笑んだ。「彼は……本当に、飛び抜けて体力があるの、 それに、群を抜いて優しく……でもどこか、気弱なところもある、 ……そこが、たまらないのよね」 その風貌からして不倫など、まるで他人事のように思えた農婦秋子のその言葉に、女たちの視線は一気に熱を帯びた。 美咲が身を乗り出す。 「秋子さん、その男のヒト……どうやって見つけたの」秋子は少し迷うように一瞬宙に視線を彷徨わせ、次いで下を向いたが、やがて観念したようにぽつりぽつりと語り始めた。 「最初は、ただの知り合いだったの、 睡眠不足で朝方ぼんやりしていたときに届いた迷惑LINE、『何かお困りごとがあれば』って、くすぐったくなるほど優しい言葉が添えられていて……、 うっかり開けてしまったから……でもそれがきっかけで、わたし……迷惑ナントカを試してみたくなったの、 どれほど頼りになるのか、確かめてみたくなったのよ」遥が目を輝かせる。 「で……どうだったんですか」秋子は目を伏せながらも、唇の端に甘い笑みを浮かべた。 「一晩で……三回以上、 普通の男なら、とっくに限界を迎えているはずなのに、それでもまだ衰えなくて……、 わたしが送ったソレを抱きしめながら、『あなたをもっと気持ちよくしてあげたい』って、本当に優しい目でそう訴え、数メートル離れたレンズに向かって湯気の立つようなアレを浴びせかけてくるの、 あんなふうに、体力と優しさを兼ね備えた男なんて、滅多にいないわ」その言葉に、部屋にいた女たちの背筋に緊張が走り、つばを呑み込む音が聞こえたような気がした。 部屋は一気に熱を帯びた。実のところ、秋子が語るこの「LINE男」の正体は、拓海ではなかった。 それは自身の猛り狂う逸物を広く誇示するため、無差別に動画を送りつける、絶倫には間違いないが、一方救いようのないヘンタイ男であった。 高雄ら亭主どもが「女房の貸し出し」という歪んだ遊戯に興じる裏で、秋子の個人情報は世界の隅々にまで流出していた。 その網に引っかかっただけの、野生の化け物。そのLINE男は、秋子からのたった一通の誘い水に応じ、遥か遠方から、まるで発情した牝犬の臭いを嗅ぎつけた牡犬のように、舌なめずりをしながら血眼になって馳せ参じてきたのだ。 そのおぞましくも凄まじい性欲の獣を、秋子は百も承知で雑用に当たらせたというわけだ。 夫の高雄が流布したであろう画像の、ほんの一部をLINEで送ってやったところ、その先を期待するあまりいいなりになった。 冷やかしであっても相見互い、そのことを女たちの前で小出しに話して聴かせた。最愛の拓海を、この飢えた女狐どもに寝取られないがための、煙幕。 別の強力な餌をチラつかせ、女たちの猟奇的な興味を逸らすための、計算され尽くした防壁であった。 女のソレは、男の数倍も狡猾であった。 学生時代の純真な面影など、ひとたび漢色に染まれば影も形もなく消え失せる。 秋子の目には、すでに老練な支配者の光が宿っていた。美咲が低く笑う。 「やっぱり……『飛び抜けて体力があって、群を抜いて優しい』男って、最高の獲物よね、 私たちみたいな恋多き女が、一番付き合いたがるタイプだわ」翠咲が頬を染めながら問いかける。 「どこにそんな情報載ってるの、 URL教えてよ」秋子はゆっくりと、しかし確信に満ちた声で答えた。 「うううん、よくは覚えてない、 けど、まずは……『弱さ』を見せつけるの、 家事や育児で疲れているところや、睡眠不足でぼんやりしている姿を、さりげなく画面で送りつける、 男は『守ってあげたい』という気持ちを刺激されると、途端に受け身の形が一変、本気で尽くしてくれるの、 そして、少しずつ欲情を匂わせる、 『こんなに優しいのに、夜は寂しいの……』って、甘えた声で囁くのよ、 一度火がつけば、あとは向こうが勝手に夢中になってくれるわ」遥が熱っぽく頷いた。 「私も……試してみようかな、 昔っから嫌いだった、毛深くて性欲の強い私は見た目以上に気が強くて……、 でも、焦らされるのには弱いの、 わたし以上に毛深くて優しく、体力のある男に、じっくりと焦らされたい……」女たちは互いに視線を交わし、自らの局所を衣服の上からそっと撫でさする。 部屋の温度が一段と上がる。 秋子の言葉が、彼女たちの体内に眠る「卑猥火」に、じわじわと油を注いでいく。しかし、女たちの欲情は、ただ話を聞くだけでは収まらなかった。 彼女たちの狡猾さは、秋子のさらに上をいこうとする。 美咲は秋子のコップに酒を注ぐふりをしながら、そのスマートフォンの画面を盗み見ようと、不自然なほど顔を近づけた。 さらに、遥は別の手段に出る。 秋子の亭主である高雄や、知り合いの旦那どもの元へ、後日「忘れ物を届けにきた」などと言い訳を作ってすり寄り、酒を飲ませてその口を割らせるべく、すでに頭の中で手練手管の算段を巡らせていた。 「秋子さんのところに来る、あのマメな男の連絡先、高雄さん知ってます?」と、男の独占欲を煽りながら情報を毟り取ろうとする、その執念たるや凄まじかった。美咲の太腿はすでに汗ばみ、翠咲のパンティは秋子の語る「湯気の立つようなアレ」という単語だけで、ぐっしょりと重みを増していた。 遥は勝気な瞳を濡らし、無意識のうちにスカートの裾を握りしめ、まだ見ぬ猛々しい牡の幻影に子宮を疼かせている。飢えた女たちは、ただ漫然と男を、順番が巡り来るまで待つつもりはなかった。 「飛び抜けて体力があり、群を抜いて優しく」という秋子の甘い罠に踊らされ、自らの弱さと女であることを武器に、ツテを頼って巧みに次の狩り場へと向かおうとする。 亭主の存在など最早関係ない。 むしろ亭主に「貸し出された」先で、他の男の手に堕ちることを密かに期待さえする。一度火が点けば、彼女たちは別人になる。 昔の気丈で勝気な面影はどこへやら、目つきは妖しく濡れ、唇は半開きで荒い息を吐き、豊かな乳房と太ももを惜しげもなく晒しながら、男の首に腕を絡め、腰を淫らにくねらせる。 毛深い胸板に自分の柔肉を押しつけ、強靭な腰の動きに合わせて獣のような喘ぎを漏らす。 性欲の強さは隠しようもなく、焦らされればされるほど股間を濡らし、子宮が疼いて男を貪るように締め付ける。 その姿はまさに、性が前面に出た女そのものだった。長年抑え込んできた本能が、夫という枷から解き放たれた瞬間、彼女たちは最も甘く、危険で、貪欲な獣へと変わる。 それは、現代の女たちが編み出した、最も効率的で、甘く危険な恋の駆け引きだった。秋子は窓の外に広がる夜景を見つめながら、静かに微笑む。 (……邪魔者はいなくなった……拓海さん……、 あなたはもう、わたしから逃げられやしないわ……)>※完全オリジナル作品です。二次創作ではありません。#オリジナル #官能小説 #一次創作 #知佳の美貌録この話が気に入ったら、ランキングバナーをポチッと押していただけると励みになります。
