愛が怒りに変わるとき 第2話

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2025-02-22 12:45:23
梨沙はやらかしたことをごまかすためなのか、放出し終えた徹に抱きついた。 今度は徹が梨沙にサービスする番だ。 背後を見せつけられた興奮は鎮まっていなかった。(しめしめ…これなら……)半勃起状態の愚息を手のひらで支え濡れ光る梨沙の芯部に当てがった。振り払われるような仕草に嫌われまいと抜き去りはしたが、名残惜しくて入り口で彷徨っていた。 萎え始めたブツをごまかしごまかし押し付けてみた。 そ~っと充てがい、頃合いを見て押し込んで秘部同士ピタリとくっつけた。「なあ、もう少しこうしてていいだろう」普通なら女が口にするような言葉を、徹は恥も外聞かき捨て口にした。 それほど梨沙が愛おしかった。 甥っ子がなどと殊勝な言葉を口にし身をよじる梨沙はしかし、温もりにを求めてか徹と距離を取ろうか取るまいか迷ってる風だった。 変化が現れたのは徹が再びのしかかろうと躰を起こしにかかった時だった。 視線を逸らした。 背や腹にヒタヒタと這わせていた手は空を彷徨う。 なのに、つま先で徹のくるぶしを探るような動きをし始めていた。(―― こいつ、恥じてるくせにヨガってやがる…)それは確信に近かった。 羞恥をごまかす背面騎乗をやりながらも、梨沙のソレは徹の反り返りを咥え込みピストンから円運動に変わりクイックイッと腰を曲げ扱き上げ、時として上半身をしならせキュッキュッと締め上げてきた。 梨沙自ら求めてくれたように思え、徹は歓喜した。 キツマンの中でギュンと反り返るのが分かった。 ポイントに切っ先が触れるからだろうが、ソレとわかるほど躰を九の字に曲げ腹部をわななかせ、終いには「出して」と懇願を口にした。 それでも徹は頑張りぬいた。 美人でしかもキツマン、これが今日以降自分のものになろうかなるまいか、瀬戸際だと思い踏ん張った。 なんとすれば、梨沙がほかの漢と…とので眠れない日々が続いたからで、それがためこのイラマチオも彼女に与えられる精一杯の、いわば愛情表現のつもりだった。 なのに… 精液を搾取され、力なく膣口から吐き出され、不安から体勢を入れ替えようと押し付けていた腰を少し引き気味にしたときから梨沙は距離を置き始めた。 徹は焦った。 普通の女なら初手から背面騎乗などしない。 ましてや羞恥を忘れたかのように屹立を扱き上げたりしない。 余程の逸物を要する漢によって仕込まれただろうと、そんな風に思え負けたような気がしたからだ。(なあに、時間がたてばコイツだって秘肉の心地良さを今一度味わいたく、ピン子勃ちになるさ)自慰と違い、恋焦がれた女の中の心地よさは尋常を通り越し、放精はドクンドクンと際限なく続く。 しまったと思った。 仕込むには女を満足させるしかない。 複数回射込まねばならないと、わかってはいたが止める勇気がなかった。 腫れあがったアソコを握り我慢させられた仇討ちとでもいおうか、悔しさを忘れるにはまだまだ出し足りなかった。 徹は離れ行く梨沙の両の太股を野太い腰をめり込ませ、割り入らせたまま抱き着き、意識をひたすら秘部に走らせていた。 女が極限に至るまで勃起した逸物を与え続けると、女のほうで幾度となく求めてくるようになる。 現実的ではないにしろ、そのようなをかきたて、膣内で漲らせてやれば懇願が始まるに違いない。 そう考えることにし、伸びあがって逃げようとする梨沙のカラダに蛇のようにまとわりつきながら愚息にが沸き起こるのを脂汗を流しつつ待った。 女の膣口を愚息の先っぽで割り、中にとどめ置くことだけ注力し続けた。 が、その意に反し愚息の感覚は薄れ萎え、ともすればグネグネとした膣の動きに抗いきれず吐き出されそうになる。 しかも腕の中から逝かし終えたはずの女がいずこかに向かって逃れようとする。 のたうつようなその様を目の当たりにし、またもやあらぬが湧きおこり、挿入云々はさておき、体が瘧りのようにぶるぶると震え始めた。(この野郎… 俺のじゃ不足とでも言いたいのか、この売女めが……)愛情が憎しみと言おうか怒りに変わりつつあった。もうちょっとで復活できそうな感覚を覚えながらも、梨沙の心の奥底にあるであろう恋焦がれてる漢を追おうとするかのような態度が躰を重ねあった直後だからこそなお邪心を沸き起こした。 徹のキャバクラ通いは自腹である。 役職にもなれない平社員の身であるからして致し方ないが、負けることだけは認めないのが信条だった。 気を取り直し、萎えた愚息も大量放出で疲れ切ったことにし、足だけ絡め、上半身をベッド上に投げ出した。 心臓が口から飛び出すんじゃなかろうかというほど苦しかった。 時間を稼ぎたかった。 仰向けに寝転んでさえいれば相手はヨガリが始まっている、否が応でも男の股間に注意が向く。 とにかく日頃で狂い勃つ、そんな状態を魅せ付けたかった。 まさか汚れ切った躰から発する汗の臭いや毛脛が梨沙の性興奮をかきたてているとは思わなかったからだ。 磨き上げた躰をこれらで汚してやることが性興奮につながるなどと思わなかったからだ。 徹は愚息の復活をひたすら待ち、その間梨沙の心が移ろわないよう「好きだ、自分のものに」を、まるで諭すような口調で連発した。 明け方近く、徹は愚息の復活を諦め、梨沙の躰から完全に離れた。 残らず搾り取られ、改めて家で待つ嫁の顔や、仕事のことが頭をよぎったからだ。「今日はありがとう、良かったよ。 甥っ子に悪いことしたね」それでも「お前は俺の女になったんだ」風に言いつくろうのを忘れなかった。「そのことは気にしないで、大丈夫よ。 悪いのは私なんだから」そう言い置いてカラダを離した梨沙はしかし、乱れたベッド上に辛うじて引っかかっていたシーツを手繰り寄せ、上向きになりながら躰を包み、天井の一点を睨んで微動だにしない。(こいつ…放心してやがる。 俺のコレがオンナにしたってことか…まさかな……)普段もてない男とは悲しい。 梨沙は自信を失っていた。 なのに徹は逆にこの時、天下を取ったつもりでいた。「俺っ、もう時間だから出るな。 ゆっくり休んでから帰ったらいいよ。 お金、ここに置いとく」いつの間に着替えたのか、シャワーも浴びず徹だけサッサと部屋を出て行った。 それも、自分の分だけお金を置き、自分がこの部屋にいたという痕跡はだけは女々しいぐらいすっかりと消し去り、しかし女のソレには手を付けず、裸身の梨沙をベッド上に残したままホテルを独り出て行った。 梨沙の心は毛羽立った。 それ用のホテルとはいえ、女が支払いを済ますというのからしてキャバクラのトップを張ると自負する自分を貶める。 しかも、早朝にホテルをオンナ独りで出てゆかねばならない。 まるで修羅場を潜り抜けたような顔つきで家路についた。 ドアを蹴破るようにし入ってきた寝乱れた髪の叔母を見て興奮が隠し切れない敏則は「朝帰りかよ。 へん、自分で約束させておいて散々人を待たせ、なんだよその恰好は。 反省のかけらもなしかよ」眼をぎらつかせ、肩を怒らせこう息巻いた。 メンヘラの梨沙にである。「甲斐性無しのくせに、よくそんな口が利けるわね」唇をわななかせ言い放った声は裏返っていた。 それでも甥っ子が腹を空かせてはしまいか、何か作らねばと、本能的にキッチンに向かい冷蔵庫を開け、思わず目を見開いた。 軽く焼くだけで食べれるようにタレに漬け込んでおいた、精魂込めて下ごしらえしておいた肉が台無しになっている。「ちょっとー これって…… いくらウチが帰らなかったからといって、食べ物に当たることないでしょう。 アンタって、ホントに役たたっずっていうか…… ねえ、ヒトの言うこと聞いてるの? 一体全体どういうつもり?」その言葉には普段口にしなかったが心の奥底に眠っていたであろうバカにした態度に満ち溢れていた。をすっかり満たしてもらい帰り着いたはずなのに、躰の芯から沸き起こる何かで梨沙は、全身をワナワナと震わせていた。 いうが早いかタッパごと甥っ子に投げつけ、睨み据える叔母。 間一髪かわしはしたものの蓋が開いたタッパの中身は床に飛び散り、部屋中に生にんにく特有のむせかえるような臭いが立ち込めた。「うるせえ! 出て失せろ! この売女めが!」怒鳴られた敏則こそ震えていた。 本音を聞かされた。 そう思えたからだ。 一散にキッチンを飛び出し、自室に向かいながら、ありとあらゆることを叫んでいた。お世話になっている以上、絶対口にしてはいけないと、封印し続けた罵詈雑言。 仕事に名をはせた売春、快楽を得つつ漢から金を巻き上げる。 そのこと自体、好きになれなかった。 自分をバカにし続けた女に、いつか仕返しをしてやる。 そう思うことで屈辱を忘れ勉学に励んできた。 それがつまらない問答で弾けてしまった。 その時頭に浮かんだのが、あの犬のことだった。(あいつこそ、あの子の飼い主こそ鎖に繋ぎ止め、殴打すべきウジ虫だ。 崇高な生き物を小ばかにした罪を、下賎の屈辱を味わわせてやらねばならない)可愛そうだが、どうしてやりようもなく、仕方なく首輪と鎖を外し、犬を解き放ってやった。 憎しみと怒りに満ち溢れたその首輪と鎖は、不幸にも敏則の手元に残った。歪んだ感性の目覚め「あらっ、梨沙ちゃん、珍しいわねぇ~こんな時間に。 お買い物ー?」こう問われて初めて、フラフラとどこかに向かって歩いている自分に気が付いた。どこをどう歩いたか覚えていない。 意識ないままいつも買い物をする方向へと足を向けていたようだ。「ええ、なにしろ食べ盛りの男の子を預かってるものですからぁ~」にっこりと微笑み、足早に去ろうとする梨沙の背に向かって「あんな可愛らしい男の子を預かってたら、そりゃあ~気を遣うわよねぇ~。 またいつもの上肉かしら?」あざけりが聞こえたような気がし、怒鳴りつけてやろうと思わず振り返った。 が、いたのはおばさんではなく、いつの間に後をつけたのか、徹だった。 嘲りたくなるのもそれもそのはずで、フリルやリボンをあしらったシャツにミニを履き主婦然としデートに出かけていたものが、今身に着けているものは赤いVネックのニットにキチッと感あるテーパードパンツ、どう見ても夜の、しかも通いの漢を振り向かせる感ありありの艶のある服装。 それほどまでに狂いきっていた。「なんのつもり? 後をつけたりして」関係を持つ直前までなら、艶めいた笑顔で問い詰めたものを、この時は違った。 尾行者へのあざけりが顔に現れていた。「お前こそ、こんな時間にどこへ行くんだ」今朝がたまで可愛がってやったというのに、まだオトコが足りないのかとでも言いたげに睨み据え、ニットの袖をつかみ路地の奥へと引っ張り込んだ。 ぶったたかんばかりの勢いでである。(―― アラッ、この男にもこんな性癖があるなんて……)この段になってなお、頭を過ったのはそのことだった。どうでもいいから滅茶苦茶に嬲ってほしかった。 だが徹がやりたかったのはそうではなかった。 周りのものに聞かれないよう奥まった場所に連れ込み、執拗な尋問が始まった。 どこの誰と出逢おうとしてたんだから始まり、付き合ってる男は誰と誰か白状させようとした。 「いない」と応えると、最初は壁に押し付けていたが、「いない」を連発すると「嘘つけ!」と一言、首根っこを渾身の力を籠め締め上げてきた。 このままじゃ危ないと感じた梨沙は仕方なく適当な男の名前を出した。 すると徹は、梨沙を殴るかと思えばそうではなく、その男とどういう風なセックスをしたかと、しつこく聞いてきた。 梨沙は話した。 過去関係のあった男らの名前を列挙し、生々しい性描写を期待を込め告った。 徹がこのことで雄々しさを取り戻し、を糧にもう一度抱いてくれたなら、燃え上がった火が消せるんじゃないだろうかと考えたからだ。 ところが徹は、訊くだけ聞き、梨沙を足蹴にした。 顔は流石に店の手前蹴らなかったが、あれほど恋焦がれた女の腹部をしたたかに蹴り上げた。 汗を垂らしながら蹴り上げた。 蹴り疲れ、敏則と全く同じ口調で罵倒すると去って行った。 梨沙は姉と違い賢く生きてきた。 力仕事・汚らしい仕事は大の苦手で、華やかな方面にだけ目を向けるようになっていった。 きれいで可愛らしいということもあってか、女らしさをやたらとひけらかしたが、逆に気は強かった。 姉はぶたれても泣かない。 が、誰にでも従う。 梨沙も泣かないが、従うということが大嫌いという態度を、特に男に向かってはとり続けた。 その分、漢遊びでは割を食った。 それがこのひと蹴りで気持ちが変わった。 暴力を振られても漢の後ろについてゆく、姉の気持ちをやっと理解できたのである。 その同じ時間、敏則は言いようのない怒りをぶちまけていた。 階下に降りると汚れたまま放置してある床と言わずテーブルと言わず、ありとあらゆるものを薄汚れたチェーンでぶったたいて憂さを晴らしていた。空腹という現象が犬のソレとダブった。 怒りを増長させていた。「あの牝豚をこいつでひれ伏させてやる」言い終えた瞬間、ゾクリと背中に戦慄が走った。>