あ・て・つ・け 第2話

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2024-12-23 07:55:13
徹は物陰に隠れ、しばらくアパートの様子をうかがった。 頃合いを見計らい、階段を上り郵便受けをのぞいた。 空だった。 どうやら梨沙は室内にいるようだ。 恐る恐るインターホンを鳴らした。 古いとはいえカメラ付きのようだったので、顔が映らないようインターホンに背を向けて立った。 ややあって応答があった。「どちら様でしょうか? 訪問販売ならお断りよ」「ご家族のことで、ちょいとお話しをうかがいたくて……」徹は小声でつげた。 ドア越しに狼狽の気配が伝わってきた。「お手間は取らせません。 ご協力をお願いします」「……わかりました」インターホンが沈黙し、しばらく待つと玄関ドアが外に向かっておずおずと開いた。 徹はすかさず右足をドアの隙間に差し入れた。 すっぴん。 顔立ちは整ってはいるが、店で見た時と違いどこかしら生活の疲れが滲み出ていた。「入って! 早く入ってください! アパートの人たちにこんなところを見られたくないの」「わかりました。 それでは失礼します」徹は三和土に入り、後ろ手にドアを閉めた。梨沙が不安そうな表情で玄関マットに正座し、徹のために来客用と思えるスリッパをそろえ差出した。「行ってきまぁ~す」玄関の三和土で靴を履きながら奥の間に向かって声をかけた。「敏則、カバンがぺちゃんこだけど、今日は授業無いの? ちゃんとお弁当持った?」 梨沙がエプロン姿で玄関に現れた。「教科書は学校に置いてるよ。 ったく、うるさいなぁ」3学期も残りわずか、大学に合格し行っても行かなくてもどうでもよい学校に、この日も通うふりをし、この日もいつものように家を抜け出そうとしていた。 桐谷家は田舎町にあり、近くには義務教育の学校はあっても高校・大学のような学び舎はまずもってない。 実家を出て独り暮らししている実の母 栞の妹 梨沙の住まいが高校に近かったこともあり、中学を卒業すると歳の離れた実母の妹(義母)宅に敏則は下宿させてもらっていた。 そう、ここでは母と呼んではいるが、梨沙と敏則は義理の母・甥っ子の間だったのだ。「もう、ちゃんと規定の日数登校しないと、いくら大学合格したからっていっても落第になっちゃうわよ。 そうなったらあなたのお父さん、雄介さんに顔向けできないんだから」玄関の下駄箱の上に置いてある鏡に向かって手櫛で髪を撫でつける敏則に向かって、その母の説教が続いている。 敏則にしても義母の梨沙に迷惑がかかるようなことをやれば、即刻連れ戻され、とても大学どころじゃなくなる。「そこらへんは心得てるよ。 お父さん、怒ると怖いからね」「そうだといいんだけど……雄介さん、あんたにだけは甘いんだから心配だよ」敏則は3人姉弟。 上には歳の離れた姉がふたりいる。 末っ子とはいえ敏則は、桐谷家唯一の男の子であり長男。 溺愛されて育っており、天真爛漫だった。 学校に行ってくると言いながら、その実別の場所に出かけるであろうことが透けて見える、嘘がつけない子。 気が気じゃなかった。 一方梨沙は、姉の栞と歳が離れており未だ独身。 敏則をまるで我が子のように愛おしんで身の回りの世話をあれやこれやと焼いた。 キャバクラ勤めも、時間給がよく敏則の面倒を見なければいけない時間に、何とか店にお願いし帰れたし、自分なりに工夫すれば敏則が母を必要とする時間帯自宅におれた。 当の梨沙は気づいていないようだが、店では言い寄られることも度々で、それなりにストレスを貯めていた。 梨沙は日置徹をベッドのふちに腰掛けさせると、スルスルと器用にズボンとトランクスを脱がせ、はち切れんばかりに怒張し天を向いてそびえ立ちヒクついているペニスを覆いかぶさるようにしながら口に含み裏筋に舌を這わせた。「うううっ……」思わず徹は声を漏らす。「ふふふ、これっ 何て言うか、知ってる? よ」洗ってないペニスをいきなりしゃぶる高級ソープ店やコールガールだけがやるサービス。 どこで覚えたのか、さすがにツボをよく心得た舌使いだ。 >