拐かし (かどわかし) 第十二話

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人妻・熟女の不倫実話と創作官能小説専門ブログ 元ヤン知佳の美貌録 13view
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     吉原妓楼 海老屋では数人連れの客が芸者と幇間 (太鼓持ち) を呼び、ドンチャン騒ぎの酒宴を開いているため、新次郎の思いとは裏腹に賑わいをみせていた。 芸者が三味線を弾き、幇間がひょうきんな踊りを披露する。 一座は笑いさざめき、座を盛り上げなければならない孫兵衛もてんてこ舞いの忙しさだった。「まごどん、小春さんの客人の新さんが腹を立ていぃして、帰ると言いなんす。 どぅしいしょう」孫兵衛は舌打ちした。 ここで帰宅されては計画は、水の泡である。 すぐに床廻しの若い者に指示した。 床廻しは、客と遊女の寝床の用意をする係である。「新さん、いったい、どうしました」駆け付けた孫兵衛がなだめた。 怒りで新次郎の顔は青ざめていた。 硯蓋の上の肴はきれいになくなり、銚子も空だった。 煙草盆の周囲には灰がたくさん散っている。「みんなして馬鹿にしやがって…。 もう、帰る」「まあまあ、廻しがあるので、花魁もなかなか抜けられないのですよ。 そこんところを、わかってやってくださいな。 このまま新さんお帰ししたら、あたくしがあとで花魁に叱られます。 ともかく、寝床の用意はできていますから、寝っ転がってお待ちください」 寝床と訊いて、新次郎の目に期待がよみがえった。 やや、態度をやわらげる。 すかさず、孫兵衛が腕をとり、新次郎を廻し部屋へと案内した。 小春の部屋には馴染みの客がいるため、廻し部屋に押し込むしかなかったからだ。 廻し部屋は割床、つまり屏風などを使って仮に仕切ってはあるものの事実上相部屋である。 この時通した八畳の部屋に三組の寝床が敷かれていた。 契りを交わすというのにお互いを隔てていたのは形ばかりの屏風である。 片隅に置かれていた行灯が部屋の中を淡く照らしていた。「えっ、 割床じゃないか」またもや、新次郎が態度を硬化させた。「ちょっとの間、ここで辛抱してください。 いずれ、花魁の部屋に案内しますから」 孫兵衛は強引に新次郎を寝床に押し込み、まわりを屏風で囲むや、すぐに取って返した。 廊下で見かけた禿に、新次郎の枕元に茶と煙草盆、それに酒を運ぶよう命じたあと、小春の居室に行った。 廊下から、障子越しに呼びかけた。「花魁、ちょいと、小春さん、ちょいと」「なんだえ、まごどんかえ」  しばらくして、床着の襟を合わせながら、小春が廊下に姿を見せた。「花魁、ちょいと新さんのところに顔を出してやってください。 怒って、帰ると言い出したんですよ」「好きにさせなんし」小春がふてくされた。 もう、一両二分の報酬なんぞ眼中にない。 金蔓の馴染みの客の方が大事なのだ。 孫兵衛は手を合わせ、頭を下げた。「そうはいきませんよ。 ちょいとだけ花魁が顔を見せ、『しばし待っていておくんなんし、きっと寝ないで待っていておくんなんし』 とささやけば、あとは明け方まで待ち続けるんですから。 拝みますよ」「まごどんに頼まれいしたら、しかたがありいせん。 じゃあ、ちょいとだけ行って、気を持たせてきいしょう」 ようやく、小春が了承した。 いったん相方の遊女が寝床に来れば、新次郎も下着になって布団に入る。 その後、小春がほかの客のところに行ってしまっても、深夜ではもはや帰るとは言い出せまい。 憤懣をこらえ、夜明けまで過ごすはずである。「助かった」孫兵衛はため息をついた。 どっと疲労を覚えたが、ひと休みするわけにはいかない。 これからが本番だった。>
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