＝死？社会性は社会や会社などで生きていくためには重要なものである。でも、のときはそれが邪魔をする。前戯というのは、社会性をどれだけ捨てられるかという作業でもある。「オマンコ、舐めてぇ！」と言うことだって、人によっては大きな効果がある。社会性を壊すための荒治療が、トンデモないミラクルを起こすことがある。なんせ取り返しのつかないことを言ってしまうわけだから・・・そして、社会性が全部落ちたときに、今まで自分を縛っていたものから解放されるのである。解放された思いは気の流れをよくして、心から出て、相手と溶け合い一体となる。そんなすべてを手放した先に、が待っているのである。逆にでイケない女は、最後の最後で心を開けない。開けないのには、その女なりの何かの理由があるはずだが、その理由を本人がはっきりと意識しているとは限らない。生きていれば、誰でもトラウマの１つや２つはあるだろう。往々にしてそれらの過去は、無意識の世界に閉じ込められている。自分がイキそうになったときに、無意識の中に閉じ込めた何かが抵抗して心を閉ざしてしまう。心が閉じると、気の流れもうまく回らなくなる。気の行き場がないのである。イキそうでイケない女は、みな一様に苦しそうな表情になる。外に出て相手と交わりたい思いが、心をブロックすることでせき止められ、出る場所を探してもがき苦しんでいるように俺には見える。以前ブログで書いた、イキそうになると「オ☆シッコが漏れそうっ！」というのも潮吹きに関しても、そんな感情が体に及ぼすひとつの形のように思える。社会性とは物事を整理、分析、分別する、いわば左脳の働きが作り出す世界である。だから、人とコミュニケーションを取るためには社会性が必要になる。場をわきまえ、相手との関係性、置かれた状況を鑑みて、言っていいこと、悪いことをひとつひとつ判断する。そこにあるのは頭と頭のキャッチボール。頭から出た言葉はときどき嘘をつく・・・心とは裏腹の言葉がお互いの関係をスムーズに進める潤滑油となることもあるだろう・・・とは、死の世界を漂うことである、つまり性行為とは「人の性は死の世界を漂うことである」と言ったのは文化人類学者の栗本慎一郎氏だった。それはにおける絶頂、ドイツ語の「オルガスム」や英語の「」フランス語の「アクメ」の意味は「小さな死」というものからもわかる。「エクスタシー」の意味は「魂が外へ出る」「恍惚感」「昇天」という意味。もちろん日本語でも「逝く」「果てる」という言葉で表現する。日本語も性的絶頂感が「死の世界」と近い距離にあることがわかる。絶頂のときに、一瞬だけ「あの世にイク」のである。つまりは、とは「社会性の死」だと俺は思っている。の最中、社会に合わせて作ってきた偽りの自分が死んでいくとき、多くの女たちはとても苦しそうに見える。しかし、自分を明け渡してを体験した女に、後でそのとき、つまりイク寸前のことを訊ねると、みんな一様に「全然苦しくなかった。すごく気持ちよかった」と答える。「イキたい」と言いながら、イキそうになると「イクのが怖い！」と言う女がいるが、『思考でコントロール出来ない怖さ』『自分でコントロール出来ない怖さ』などで、自分から制御してしまう。「死ぬのが怖い」という感覚に近いと言えばいいだろうか？「どうなってしまうのか自分でもわからない・・・」そして、そんな姿を相手に見せることにも許可を出さなければ、すべてをさらけ出してイクことは出来ない。セックスとは「生き様」であり「死に様」でもある。だとすれば、本当に死ぬときも、死を受け入れれば同様に気持ちいいのではないだろうかと思う。つまり、が「死」であるとするならば、死もまた「オーガズム」ではないかと・・・もしこれを、パートナーと共有することができたなら・・・これこそが、極限の幸せではないだろうか？イクために必要なこと身も心も満足するセックスをした後は、『女神』に昇華する。一旦死んで、生まれ変わったような・・・女が、自分の快楽に没頭し、男が、女の快楽を自分の快楽のように受け取ることができると気が交流してひとつにトロけ合う。「私があなたで、あなたが私。」人は、生まれるときも死ぬときも、ひとり（孤独）である。誰かと一緒に生まれたりあの世に逝くことは出来ない。セックスで、パートナーと一緒に「小さな死」を迎えられることは、究極の幸せであり、奇跡でもある。ふたりで一緒にイクことは、それほど尊い体験なのである。ちょっと話が「哲学的」になりそうなので・・・閑話休題。「今までイッたことがないので、イッてみたい」という依頼の場合、性体験が少なくてイケない女なら、比較的簡単にイケるようになる。だが、性的トラウマがある場合や、何10年もセックスパートナーがいる場合や、経験人数の割にイッたことのない女の場合は、イケない原因を探る必要がある。問題点が見つかると、必ず解決策が見つかる。俺が千鶴子に「真面目にやってないやろ？」と言ったのは、自分の性に対して真剣でなかったからである。人を変え、プレイを変え、ここまでたどり着いた。イケないのはすべてを相手の問題で、自分の問題だとは気づかないでいた。だから、もっともっとと激しいプレイを求めてしまう。イキたいと言いながら、イクことから逃げているように感じた。座学（カウンセリング）を済ませ、軽くスキンシップを取りながら唇を合わせる。バスルーム、ベッドと場所を移しながら、興奮を促していくが欲情しない。長年の夫とのセックスの中で、「セックスは自分が欲情しなくても、求められたら嫌でもやるもの、耐えるもの。」と言う回路が、彼女の中で出来上がっているからである。外的な欲情の回路には、大きく分けて3通りある。1番目は、そばにいるだけでドキドキするくらい好きな人に対して「この人に抱かれたい」と欲情するケース。男なら「この女とやりてぇ」という生身の人間に欲情するもの。2番目は、エロい画像や動画や本などを見たり読んだりで欲情するもの。そして3番目は、性的な刺激によって欲情するケース。最初は、その気じゃなかったが、いちゃいちゃしてるうちにだんだん欲情してくるパターン。また女によっては、恐怖を感じたときや、圧倒的に支配されたとき、そして自分に欲情する相手に接したときに欲情することがある。1番目の場合は、生身の人間に欲情しているので、そのままセックスに入ればいいが、2番目や3番目の場合は、欲情するまで状況を作り出す必要がある。オーガズムの快感を呼び起こすには、何事も順番や流れがあるのだ！初回の俺は、結局、千鶴子の欲情ポイントを探せなかった。すべてが終わったとき、その場に重たい空気が流れていた・・・「イカれへんかったね」俺の一言で、さらに千鶴子は落ち込んだ・・・後日談だが、このとき千鶴子は、「この世から消えてしまいたい！」と思ったという。「もうこれで会うことはないだろう・・・」俺は心のなかでつぶやいた。性的な刺激でいったん目覚め、肉体の快楽を味わいつつ、また現実の世界へと戻っていく。体は頭はしていても、心はそこに参加していないわけである。俺は千鶴子を送る車の中で、最後の質問を投げてみた。「今までセックスしたなかで、イカないまでも『ああ、幸せ』っていうか、涙が出るようなこと、そういう体験はなかった？」彼女はしばしらく考え「結婚する前につきあった人と1回だけそういうことがありました」と答えた。「オーガズムというのは、そういう状態で起きるんよ。そのとき千鶴子さんの『心』は参加してたんと違うかな。」俺の言葉を聞いて「この歳までそれに気づきませんでした。恥ずかしいです。」と彼女が言う。「俺が、いろいろ性的な刺激をしているとき、どうやった？」と聞くと、「入り込もうとすればするほど、どこかで巣に戻ろうとする自分がいるんです」という返事が返ってきた。そうこうしているうちに、千鶴子を降ろす駅前に到着した。「ナオトさん。お話が・・・」何か話しそうな千鶴子を察して、再び車を走らせた・・・～最終章へつづく～