由美と美弥子 3102

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    ■ 部屋に入り、ドアをロックする。 これから行われることを思えば……。 ドアがロックされている方が、女性も安心だろうと思った。 女性は、何も言わなかった。 黙ったまま日傘を、クローゼットに立てかけた。 室内に進んだ女性は、ベッドを前にして立ち尽くした。 部屋の中央に、大きなダブルベッドが設えられていた。「フロントの彼女……。 わたしたちがダブルの部屋の客だって、わかってたわけね」「ツインもありましたけど……。 この方がむしろ、吹っ切れると思って」「そうね。 ここまで来たら、もう誰の目もないし」 女性はサングラスを外すと、壁際のデスクに投げ出した。 デスクチェアを引き出し、バッグを放るように落とす。 実際、何かを吹っ切る所作に見えた。 そのままくるりと身を反転させ、男に正対した。「でも、良かったわ。 ほんとに」「……?」「脅迫状を読んでからずっと……。 人生終わりだって思ってたから。 老後のためのお金をぜんぶ吸いあげられて……。 最後は、女ホームレスかしらって。 そんなことになるくらいなら、いっそのこと……。 そう思って、包丁まで持って来たのよ。 ほんと、まだ夢みたい。 お金を払わなくていいって言われてから……。 まだ、1時間くらいしか経ってないのよね。 1時間前のわたしに、“大丈夫だから”って言ってやりたいわ。 そのくらい、ギリギリだった」 女性の目から、涙が零れた。 皺を伝う涙を見て、男はさすがに罪悪感を覚えた。「さ、どうする? 童貞くん。 いきなりベッド? それとも、お風呂? ふふ。 むしろ、フロントの彼女を呼んで、見せてやりたいくらいだわ。 自分の母親より年嵩の女が……。 若い男とセックスするところ」由美と美弥子 3101 <目次> エロ本を拾った話
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