由美と美弥子 3099

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    「あの映像が、ネットに流れます。 投稿予約してありますから。 もし、ぼくの身になにかあって、予約日時を先延ばし出来なくなったら……。 決められた日時に、自動的に投稿されます」 女性は、バッグを広げ、ATM封筒を中に収めた。 包丁の柄が、はっきりと見えた。「わたしが、こういうのを持って来ることも予想してたわけ?」「もちろんです。 テレビドラマの脅迫者は、あまりにも無防備です。 だから、必ず殺される。 脅迫者は、脅迫される側より、遙かに命の危険が大きいはずなのに」「つまりあなたは、決して間抜けな脅迫者ではなく……。 命の危険も十分予測した上で、わたしに会いに来たということね」「そうです」「要求は、ほんとにそれだけ?」「それで十分でしょう。 あなたには、それだけの価値があります」「ほほ。 脅迫者におだてられちゃった」「でも、1度だけじゃイヤですよ。 多分、初めてのときは失敗しますから。 ぼく、童貞なんです」「……。 衝撃の告白ね。 34でしょ。 これまで何してたの?」「だから、オナニーだけです。 告白したのも、これが生まれて初めてです。 もちろん、あなたの仕事に支障を来すほど会ってくれとは言いません。 あの人との付き合いも、これまでどおり続けてもらって大丈夫です。 邪魔はしません」「なんだか……。 好条件すぎて、逆に怖いわ。 これじゃ、若いツバメを拾っただけみたいじゃない」「そう思ってもらっていいです」「わかったわ。 信じましょう。 信じるほかないもの」「ありがとうございます」「で、どうするの? 今日は」「もちろん……。 このまま帰ってもらうつもりはありません。 だから、お店の定休日を選んだんです。 時間、大丈夫ですよね?」「ええ。 今日は、彼との約束もありません。 こういうことを先延ばしにすると……。 それだけ、不安な時間を過ごさなきゃならないことになるわ」「そうそう。 善は急げ、ですよ」「善じゃないでしょ。 ま、いいわ。 行きましょう。 まさか、ここでするわけじゃないでしょ」由美と美弥子 3098 <目次> エロ本を拾った話
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