看護師の岸田さん、みどりママと、立て続けにターゲットを攻略できた。どちらとも非常に濃厚なセックスを堪能できて大満足だったが、その後は、彼女たちとは自分からは連絡を取らず、会っていない。せっかく頑張って落とした女ではあるが、女性とは基本的にはだらだらと関係を続けないと決めているからだ。　理由は二つある。一つは、家庭を壊す気がない俺にとって、あとあと面倒になるのは避けたいということ。もう一つは、関係を続けるために、こまめに会ったり連絡したりするのが邪魔くさいということだ。新たな女を落とすための苦労はまったく苦にならないのだが。　みどりママとヤッて以降、誰ともセックスできていない。そもそも夜に飲みにいくことが少なくなったし、女と出会う機会をわざわざ作る元気もだんだんなくなってきた。歳をとって男としての魅力は減る一方だし、こんなんじゃ、女とできるはずないよな。かといって風俗に行きたいとは思わないし。　あー、セックスしたいなぁ。ここはポリシーに反するがヤッた女に連絡してみるか。さっそく岸田さんとみどりママに連絡を入れてみた。　おっ、さっそく岸田さんから返信が。『お久しぶりです。その後、体調はいかがですか？　全然連絡ないのでちょっと心配してたんですよ』『俺は元気。岸田さんは？』『はい。なんと、彼ができたんです！』　その後、訊いてもいないのに彼氏についての話が続く。今は幸せだし、もう連絡してこないでってことかな。　みどりママからも返信があった。『連絡ありがとう！　明日、遅めに来ない？』　彼女の方はヤル気満々のようだ。　翌日11時過ぎに彼女の店に行き、他の客が帰ったら、さっさと店を閉めてホテルに向かった。　みどりママはＭっ気があるので、縛ってみたり、鏡の前で恥ずかしいことを言わせたりとＳＭっぽいプレイで責めてみる。「あぁ、すごい。あぁ、あぁ」　豊満な身体を震わせて喘ぐみどりママの反応を見て最初は俺も楽しかったが、どんどん興奮していくみどりママに対して、俺の気持ちはだんだん萎えていった。はぁ、なんかしんどいな…。　みどりママには申し訳ないが、会わない方がよかったかもしれない。もしかしたら岸田さんと会えていても同じ状況になったような気がする。　帰りのタクシーの中で、なんで楽しくなかったのか考えてみた。　もちろん、最初のプレイと比べて、２回目、３回目と興奮が下がっていくのは仕方がない。　ただそれだけではなく、相手やセックスの内容が濃厚すぎて、興奮が下がった状態の俺にはちょっとキツいのだ。あんまり腹が減っていない時に、脂っこい肉を食べるとしんどいよな、この歳になると。ちょっと胸やけ気味で、しばらくはセックスしたくないという気持ちになってしまった。こんな状態でヤルノート続けられるのだろうか？　今、週に数回訪れる『Ａ』というスーパーがある。　食料品から、日用品、書籍類まで何でもそろっている大きめの店舗で、週末に嫁さんと買い物に行くこともあれば、仕事帰りに立ち寄ることもある。リモート勤務の時には昼飯や酒などを買いに行ったりする。　実はそのスーパー、レジの店員に結構きれいな人が多いので、行くのが少し楽しみなのだ。もちろんマスクマジックもあるんだろうが、近所の他のスーパーと比べてもレベルが全く違う。学生バイトから40代パート主婦までなかなかの粒ぞろいで、デブや婆さんなんて一人もいない。　そんなＡのレジ店員の中でも、俺がナンバーワン美人じゃないかとにらんでいるのが中野さんだ。（名前は名札でしっかりチェックしている）　年齢は40歳前後だろうか。色白で涼し気な目元が印象的な女性だ。もちろん彼女が担当するレジを何度も使ったことがあるが、上品で丁寧な対応も好印象な女性だ。　前から美人だと気になってはいたが、『どうせなら、中野さんのレジに並ぼう』くらいの程度で、それ以上に女性として意識したことはなかった。　しかし、なぜか最近、だんだん中野さんが気になる存在になってきている。Ａに行けば、今まで以上に彼女がどこにいるかが気になるし、他に空いているレジがあっても必ず彼女の担当するレジに並ぶようになった。なんでやろ。なぜ急に中野さんを意識するようになったのだろうか。　もしかしたら、最近、より興奮する対象、より興奮するセックスを追い求めてきて少し疲れていたのかもしれない。そんな時に中野さんのように、日常に存在して、涼し気で清潔感がある、普通の女性が新鮮で魅力的に感じるんだろう。　思い起こせば『ヤルノート』は、いい歳になった俺が、日常でヤリたいと思う女性を、自分のペースでゆるゆると口説き落していく想いで始めたんだったっけ。もう一度、初心に戻るのもいいかもしれない。　そう言えば、ヤルノートの最初のターゲットはスーパーの店員さんだった。今でも記憶に鮮明に残っている、魅力的で、でも普通の女性だ。　じゃ、中野さんはどうかというと、女性としての魅力はすごく感じてはいるのだが、なぜかセックスの対象としての実感がわかない。もしかしたら、清潔感のある彼女をセックスで汚したくないとどこかで思っているのかもしれない。　そう思いながら、この日もスーパーの中で中野さんを探していると、いたいた。今はサービスカウンターの担当のようだ。駐車のサービス券をもらいに近づくとしよう。　その時だった。中野さんがマスクを外して、新しいマスクに付け替えたのだ。その一瞬を俺は見逃さなかった。　初めて見た中野さんの素顔。想像以上に美しく、上品だった。少し鈴木京香に似てるかな。　うわー、中野さん、最高だ。決して派手さはないが、品があって涼し気な佇まい。こんな女性はセックスの時、どんな風に乱れるんだろう。まったく想像がつかないが。　そう考えると、すごくドキドキしてきた。あれ、俺、今彼女をめちゃくちゃセックスの対象として見ているな。結局のところ、彼女の顔が分からなかったので実感が沸かなかっただけだったのか。　中野さんとヤリたい！　時間がかかっても構わない。じっくりしっかり攻めながら、なんとしても彼女を落としてみせるぞ。