由美と美弥子 3092

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     男から届いた脅迫状を、白髪女性がそのまま警察に届けるとは考えにくい。 写真を抜いて、文章だけ提出することはできるが……。 文面には、写真のことが書いてある。 警察は、その写真も提出するよう求めるはずだ。 それがなければ、脅迫は成り立たない。 何しろ文章には、要求事項はまったく書かれていないのだから。 文中で求めたのは、応答する意思があるかどうかだけだ。 もし、そのつもりがあるのなら……。 翌々日、マンションのベランダに、赤いタオルを下げるようにと書いた。 女性のベランダに、洗濯物が干されていることは滅多になかった。 ごくたまに、ハンカチやタオルが掛けられていただけだ。 アウターはクリーニングに出し……。 下着類は、乾燥機でも使うのだろう。 そのたまに出ているハンカチ類も、青などの寒色系がほとんどで、ましてや赤は一度も見たことがなかった。 応答の猶予を中1日空けたのは……。 赤いタオルなど、所有していない可能性が大きいと思ったからだ。 もしあさって、赤いタオルが下げられていたら……。 おそらく、購入してきたものになるだろう。 明確な応答のサインだ。 生まれて初めて経験するような長い1日が、ようやく過ぎた。 輾転反側し、夜も眠りが浅かった。 迎えた当日の空は、綺麗に晴れていた。 洗濯日和だ。 男は、大量に溜まっていた自分の洗濯物を次々と洗濯機に掛けた。 黙って待っているのが、いたたまれなかった。 それに、洗濯物を干しにベランダに出るたび……。 向かい側のマンションのベランダを確認することができる。 赤いタオルが出ているかだ。 赤いタオルの有無くらいは、肉眼でも十分に目視可能なはずだ。 洗濯機は、4回まわした。 最後の靴下を干しあげたが、赤いタオルは見えなかった。 やはり、応答なしか……。 次はどう出ようか。 頭を巡らせ始めたとき、今さらながらのことに気づいた。 今は、花屋で勤務している時間じゃないか。 確か今日は、定休日ではなかった。 時間は、ようやくお昼になろうとしていた。 この日はまだ、半分残っているのだ。 男は、コンビニに昼食を買いに出た。 その帰り、遠回りして、駅前の花屋の前を通った。 いた。 白髪女性は、女性客の対応をして、花を選んでいた。 紺色のエプロンが、白髪に似合っていた。 エプロンの後ろから、ジーンズの尻が見えている。 すっきりしたシルエットだった。 おれは、あの中身を知っている。 垂れて隈のできた尻たぶ。 今日はひょっとして、ガードルのようなものを穿いてるのかも知れない。由美と美弥子 3091 <目次> エロ本を拾った話
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