由美と美弥子 3081

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Mikiko’s Room
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2020-07-11 06:27:00
しかし最近感じることは、少女と自分の年齢がずいぶんと離れてしまったことだ。 想像の中の少女は、歳を取らないのだから仕方ない。 自分としては、同い年のつもりなのだが……。 傍からはそうは見えないだろう。 街を歩くランドセルの少女を、つい目で追ってしまうことがあった。 あの少女の面影を見つけたときなどだ。 しかし客観的には、危険なロリコン男にしか見えないはずだ。 覗き男が恐れることは……。 ほんとうに、自分が何かしでかすのではないかということだった。 それだけは、ぜったいに抑えなければならない欲望だった。 せっかく手に入れた自由な生活が、すべて失われてしまうのだから。 そんな不安に苛まれたとき、覗き男はベランダに出て天体観測をした。 この街に来てから買った望遠鏡は、小学校の天体観測会で覗いた大型の望遠鏡よりも性能が向上していた。 星を見ていると、無心になれた。 しかし、このメルヘンチックな趣味が……。 ある日突然、別の趣味に変わった。 トイレに立とうとしたとき、望遠鏡に手があたり、レンズの角度が大きく動いた。 角度を戻そうとしたとき、レンズの向こうの景色が目に入った。 空ではなかった。 薄ぼんやりとしていたが、レンズの向きからして、対面するマンションが映っているらしい。 100メートルほど離れたマンションで……。 これまでは、街の景色のひとつとしか思っていなかった。 覗き男は、倍率を調整してみた。 画像が、くっきりと焦点を結んだ。 ベランダの洗濯物の靴下の柄までわかった。 望遠鏡の性能向上が、想像以上のものだったことに驚いた。 覗き男は、キャンバス地のディレクターズチェアに座り直し、レンズを覗きこんだ。 窓を、ひとつひとつパンする。 時間が遅かったので、真っ黒な窓がほとんどだった。 しかし、明かりのついた部屋のひとつに、カーテンが引かれていない窓があった。 残念ながら人影は見えなかったが、リビングらしい佇まいは、はっきりと映っていた。 覗き。 まさしく、どう体裁を繕おうと、その行為は覗きそのものだ。 子供のころからの趣味だった天体観測。 初恋の少女との思い出。 自分の中で、ひとつだけ綺麗なままに取ってあった思い。 穢したくなかった。 しかし……。 覗き男の年齢と境遇が、それを裏切った。由美と美弥子 3080 <目次> エロ本を拾った話