■『落とし物を預かっています』　その1行と、新たに取得したwebメールのアドレスをプリンタで打ち出し、封筒に収めた。　表書きには、マンションの住所と少年の部屋番号、少年の氏名を記す。　切手を貼って投函した。　郵送にせず、エントランスの集合ポストに投げこむことも出来るが……。　切手の貼ってない封書では、親が不審がって開くかも知れない。　裏面には、男名でデタラメの住所氏名を記してある。　差出人名が無ければ、やはり不審に思われるだろうから。　裏書きもある普通の郵便物なら、未開封で少年の手元に届くだろう。　有名私立に子供を通わせる親だ。　そのくらいの良識はあるはずだ。　少年はスマホを持っていないわけだが……。　メールアドレスへの応答くらい、何とでもなるだろう。　ネットカフェから送ることも出来る。　返信が届いたのは、翌々日だった。　ひと言だけ書かれていた。『どうすればいいですか？』　送信アドレスのドメインは、絵里子が使ったのと同じWebメールだった。　おそらく、新しく取得したのだろう。　絵里子は、日時と場所を記したメールを返した。　指定したのは日曜日だった。　少年が通う有名中学のホームページを覗いたところ……。　土曜日にも授業があるようだった。　サボらせるのも気の毒だ。　ま、タバコを吸っていた日は平日だから……。　あの日もサボっていたのかも知れないが。　しかし日曜日では、マンションの部屋に呼びつけるわけにはいかない。　夫や息子がいる場合が多いからだ。　なので、待ち合わせの場所は、例のポケットパークにした。　美咲を調教した小公園だ。　あそこならベンチもある。　人通りも少ない。　念のため、Webからダウンロードした地図画像も添付した。　そして、日曜日。　晴れてくれた。　別に雨でも構わないのだが……。　晴れるに越したことはない。　こちらのメンバーは、いつもの3人だ。　すなわち、あの日の当事者すべて。　限りなく可能性は低いとは踏んでいるが……。　少年が、誰かを連れて来ないとも限らない。　こっちも頭数がいたほうが安心だ。由美と美弥子 3506 ＜目次＞ エロ本を拾った話