ときどき、平気でなくなるのは確かだ。　しかし……。　さすがに、トランクスにしてしまうという選択は下せない。「わたしも万里亜さんの穿きたい」「だから、トランクスよ」「トランクスなら、ちょっとくらい大きくても、可愛く穿けると思います」「大きいは失礼ね」「あ、ごめんなさい」「でも、ほんと楽だから。　あれ穿きだしたら、ショーツなんか穿けないわよ」「取って来ていいですか？　洗濯機ですよね？」「ダメー。　洗濯機に放りこんだ下着、人に見られたくないわ。　わたしが持ってくる」　万里亜は踵を返すと、颯爽と歩き出した。　あれだけ飲んだのに、少しも揺らいでいない。　ショーツひとつのモデルウォークだった。「由美ちゃん、ちょっと飲み過ぎよ」「妬いてる？」「そんなこと……」　万里亜が戻ってきた。　片手にシルバーのトランクスをぶら下げ……。　もう一方の手には、洗面所の歯磨きコップを2つ、持ち手を束ねて持っていた。「お水、一杯いただいたら、あんまりおいしくて。　あなたたちにもおすそわけ」　万里亜は、テーブルにコップを下ろすと……。　水色のコップを由美の前に、ピンクのコップを美弥子の前に滑らせた。「万里亜さん、よくわかりましたね。　わたしのがこっちだって」「だって、ショーツと同じ色じゃない」「鋭い！」「ほほ」　コップは、かすかに歯磨き粉の匂いがしたが……。　酔って飲む水は、まさしく甘露だった。「美味しい」「良かったわ。　でもなんか、ワインより喜ばれちゃったかな」「そんなことないです。　ワイン、スゴく美味しかった」「ありがとう」由美と美弥子 3060 ＜目次＞ エロ本を拾った話