由美と美弥子 3401

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Mikiko’s Room
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2021-10-06 05:35:17
- Niconico
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「ま、無理もないわね。 たぶん、父との大恋愛の末に、家族と遠く離れた国にひとり来て……。 2人の子供までもうけた。 ようやく、その国で暮らしていく覚悟も据わった。 なのに、最愛の人だったはずの夫とは、心が通わなくなった。 そして、2人の愛の結晶だった子供は……。 近親相姦しかけてる。 自分の人生、なんだったんだろうって思ったんじゃない。 それで国に戻って、人生やり直す気になったわけよ。 母の親たちも、いつでも帰って来いって言ってたみたいだし。 さてそうなると……。 夫のことはどうでもいいけど、心配なのが2人の子供。 このまま2人を一緒にしておいたら……。 いつかは、ほんとに近親相姦しかねない。 クリスチャンとしては、許し難いことだったんでしょう。 ということで、引き離すことにしたわけよ。 で、わたしが母親に付いて、アメリカに行くことになったの」「アメリカ……」 今なら、携帯やネットで、いくらでも連絡が取れるけど……。 あのころは違った。 中学生が携帯を持てる時代じゃなかった。 連絡するとしたら、長距離電話か手紙しかない。「美咲。 別に死に別れるわけじゃないから。 経済的に独立できたら……。 きっと帰って来る。 美咲のところへ」 彼女は、出発の日を教えてくれなかった。 空港で愁嘆場は御免だって。 せめて、アメリカでの住所を聞かせてって頼んだけど……。 母親に教えてもらってないとのこと。 ほんとか嘘かわからないけど。 落ち着いたら、せめて手紙を書いてと頼んだ。 でも、佐耶の目を見ていると……。 もう、何をどうせがんでも無理だってのがわかった。「待ってるから、佐耶。 ずっと」 彼女は、夏休みの内にアメリカに発った。 クラスには、二学期の始業式で担任から伝えられた。 以来、20年。 わたしは、結婚もしてしまった。 夫は転勤族で、住む場所も転々としてきた。 でも、もし佐耶が日本に来て、わたしを尋ねるとしたら……。 中学時代を過ごした、わたしの実家のマンションしかない。 そこにはまだ、わたしの両親が住んでいる。 母親は、佐耶の顔も知っている。 佐耶が訪ねて行けば、必ずわたしに連絡が来るはず。 なのだ。 でも……。 あれから、20年。 まだ、佐耶は来てくれない。由美と美弥子 3400 <目次> エロ本を拾った話