ヒプノ古書堂の官能催眠

サークル「MayThird」さんの催眠音声作品。

今回紹介する作品は、官能小説を専門に扱ってるお店の店長が
来店した男性にとある本を読み聞かせて不思議なひと時を提供します。

小説の主人公が自己催眠を実践する様子を通じて催眠をかけたり
ヒロインの女の子に責められてる様子や感覚を彼の視点で綿密に描くなど
物語の流れに沿って催眠の感覚と没入感の両方が高まるように進めます。
小説の主人公に自分を重ねて
ヒプノ古書堂の店主ヨミが官能小説を読み聞かせるお話。

「いらっしゃいませ あれ? あなた あぁ お客様 その…初めてですよね」
ヨミはお淑やかな声の女性。
初来店した主人公に未成年じゃないか尋ねると
お店や中に置かれてる本の事を説明してから好きに見てもらいます。

本作品は官能小説の主人公になりきってエッチを楽しむことを目的に
彼女がおよそ70分に渡ってテーマに沿った催眠とエッチをします。
彼女自身は天の声として催眠誘導とナレーションを担当し、実際に相手をするのは小説内に登場する女の子です。

この本のタイトルは「偏愛な彼女」。
仕事や後輩の指導を頑張り過ぎた結果ストレスを抱えてる営業マンが
よく行く本屋の店員をしてる女の子の協力を得てそれを解消していきます。
また彼女は物語の冒頭から彼を愛しており、今回のお話を通じて想いを伝えようとします。
そして主人公にすんなり感情移入できるようにこれらの様子をヨミが終始聴き手視点で語ります。

「もしよかったら あなたも主人公の行動を真似してみたら さっきよりもずっと感情移入できるかもしれませんよ」
彼女も作中でその重要性を何度も教えたりなりきるためのアドバイスをしてくれますから
その通りにすれば自然と作品世界に引き込まれていく感覚がするでしょう。
そしてこれは催眠にとって必要な集中力の向上にも繋がります。

催眠はおよそ10分間。
まずは女の子に勧められた催眠療法の本に載ってる自律訓練法という自己催眠法を試します。

「しばらく深呼吸を続けていると 次第に意識がぼやけて 疲れが溶けてなくなっていく気がした」
「そうか 別に眠ってもいいのか 意識のどこかで私は眠らないようにしていた その事に気づいた瞬間 私の意識は深い眠りの彼方へと落ちていった」

深呼吸しながら左右の腕と足を脱力する至ってシンプルな内容ですが
その様子を官能小説らしい口調で語って癒しと没入感を与えます。
本来の自律訓練法でやる「右腕が重い」などの暗示を自分で復唱するシーンはありません。
自律訓練法をやってる人になりきらせながら軽めの暗示を入れるスタイルを取ってます。

お次は読み聞かせを一時中断し今度はヨミが直接自律訓練法の暗示を入れます。

「主人公の感情があなたの体に 精神に流れ込んでいきます 主人公の感情のままに心が変化して あなたという意識が希薄になっていく」
ほぼ同じことを二度繰り返して感覚を強化するわけです。
ただしこちらは小説の主人公により同化できる暗示を加えてます。
テーマの読み聞かせを活用した個性的な誘導法と言えるでしょう。

官能小説のストーリーを進めながらリラックスや深化を促す独特な催眠です。
聴き手を小説の主人公になりきらせることを目的に
登場人物とその関係を事前に語ってから深呼吸や脱力といった癒し系の技術を施します。

サークルさんが「催眠ボイスドラマです」とおっしゃられてる通り
一般的な催眠音声に比べて背景部分の描写に力を入れてます。
ですからこの官能小説がどんなお話かわからない人はおそらくいないと思います。

しかし肝心の催眠が時間、内容共に弱いというのが正直な感想です。
最初のあらすじを語るシーンで現代催眠の技術を使った予備催眠をかけてればまた違ったのでしょうが
聴いた限りではそういう意図は見られずごく普通のボイスドラマでした。

あるいは自律訓練法をもっと入念に続けていれば随分違ったでしょう。
作中では第1公式の体が重くなる暗示を頑張ってる一方で第2~第6公式については軽く触れる程度に留まってます。
厳しい言い方をさせていただきますと、完成された自己催眠法をなぜわざわざ崩すのかが理解できません。
第1公式から第6公式まで手順通りやったほうがずっとスムーズに、そして深く誘導できたはずです。
崩すことによって催眠によりかかりやすくなるならわかりますけど実際は真逆の結果になってます。

以上のことからイマイチな催眠と私は見ています。
胸に秘めた想いを込めて
エッチシーンは42分間。
プレイは体の愛撫、乳首責め、アナル責め、前立腺マッサージ、手コキです。

エッチな効果音はありません。
セルフもありません。

「初めこそ性を解消する催眠術に照れを感じていたが 今はすべてを彼女に晒しても構わない そう思っている」
本を紹介してもらったおかげで女の子と親しくなり、その後2ヶ月ほど催眠を直接かけてもらうようになったある日
彼女を再び自宅に招いた官能小説の主人公はアロマキャンドルの炎を眺めながら深い催眠に入ります。

エッチは引き続き官能小説の様子をヨミが綿密に語ります。
最初の15分間は心と体の準備を整えるのが目的のプレイ。
小説内で女の子が彼に軽い催眠を施し、それから感度が上がる暗示を入れたり
アロマオイルを混ぜたローションを全身に塗り拡げていきます。

女の子「いつ見ても広い背中ですね それに…」
ヨミ「ゾクゾクとした快感が背筋に流れ 体が強ばる」
そしてここからは女の子のセリフも交えて
プレイの様子やそれによって得られる感覚をゆっくりじっくり伝えます。
2人が同時にしゃべるわけではないので双子形式とは違いますが
声質を若干変えたりアプローチの方向性に違いを持たせてるのも事実です。

女の子「気持ちいいなら あん あんって声を出してください 私にエッチな喘ぎ声を聞かせてください」
女の子が喘ぎ声を漏らす指示を時々出すのもポイント。
前項で話した通り本作品の鍵はいかに感情移入できるかですから、それを自然な形で後押しします。
実際に声を出すのがベストですけど心の中でそうするだけでも多少の効果が見込めます。

本格的なプレイが始まるのはその後から。
愛撫ですっかり発情した主人公の性欲をさらに盛り上げ発散させようと
女の子が乳首、アナル、おちんちんを同時に責め続けます。

「くにくに くにくに 彼女の指が アナルの入口をほぐしていく 次第にアナルがヒクヒクと反応し始めて 指を入れて欲しいと口を開けてしまう」
「自然と快感で力が入る 前立腺も疼きだして だらだらと鈴口から我慢汁が溢れてくる」

中でもアナルはローションまみれの指を挿入し前立腺まで刺激するややアブノーマルなものです。
ヨミも聴き手にそれを少しでも楽しんでもらおうと実況や感覚支配の暗示を厚めに入れます。
効果音が入っていればよりイメージしやすかったでしょうね。
乳首についても指で撫でたりちゅぱ音を鳴らして舐めたりと結構力を入れてます。

本作品の絶頂形式はドライなのでおちんちんへの責めはあまり積極的にやりません。
アナルや乳首を責めるのと並行して金玉と竿をいじる実況が時々入る程度です。
官能小説のタイトルが「偏愛な彼女」なのはこういうプレイをするからなのでしょう。

このように、登場人物の内面にも焦点を当てた生々しいエッチが繰り広げられてます。
引き込まれる作品
物語の主人公と自分を重ね合わせやすいドラマ性重視の作品です。

ヨミは主人公に自分が読んでる官能小説の魅力を伝えようと
自身はエッチに直接参加せず語り手として催眠をかけたりイメージ力を膨らませます。
そしてその中で聴き手が主人公に自然と感情移入できるようアプローチします。

小説を読み聞かせながら催眠やエッチを進める独特なスタイル
集中力や没入感を高めるための様々な配慮、アナルと乳首を重点的に責める変わったエッチ。
作品が持つ個性を組み合わせてひとつの流れを作り上げてます。

女の子「大好き 私はあなたの事が大好きなんです」
割とアブノーマルなプレイをしてるのに雰囲気があまあまなのも印象的でした。
彼は彼女を信頼してるからすべてを受け入れられるし
彼女も彼に対する一途な好意を込めてゆっくり丁寧に責めます。
押し付けがましさがまったくないのでアナル責めが苦手な人でもなければ抵抗を感じずに聴けるでしょう。

催眠は本作品唯一のネックと言いますか、もうちょっと入念にやってほしかったです。
エッチをかなり頑張ってたからこそ余計そう思います。
催眠音声で催眠を失敗してしまうと作品自体が成り立ちませんから
それを防ぐための保険はかけておいて損はありません。
自律訓練法のようにシンプルな誘導法ほどより高い運用力が求められます。

絶頂シーンは1回。
淫語それなり、ちゅぱ音そこそこ、喘ぎ声はありません。

エッチは良かったけど催眠はうーん…ということで今回はこちらの点数とさせていただきました。

CV:縁側こよりさん
総時間 初回用…1:13:56 2回目以降用…50:59

オススメ度
■■■■■■□□□□ 6点


体験版はこちらにあります

追記
2回目以降用は注意事項、導入部を編集したものです。